

どれくらいの時間が流れただろうか

私は伊祁さんの気持ちをくみながら
彼の口が開くのを待っていた・・・。
伊祁「わ、私は・・・幼い頃から一人でした

透明「

伊祁「私の本当の父親は病を患い、産みの母は
どこにいるのかも知りません

そんな孤独な幼少期でも、彼がいてくれたから
生きてこられました・・・。
彼から教わったのは、式神に関すること
だけでなく、一般教養もマナーも、
全て養父である彼から教わりました

ハハハッ

自身が化現する為に必要なことでしかなかった
ということなんですよね・・・。」
透明「・・・・。」
伊祁「・・・・・でも・・・それでも

私にとって、彼は本当の父だったんです

悩んでいた時、苦しかった時、寂しかった時、
いつも、傍に・・・いてくれたんです

間違っていれば叱ってもくれました

なのに


揚羽「そうでしょうか

伊祁「えっ

透明「私の式神、揚羽です

伊祁「・・・・・。」
揚羽「同じ式神として言いますが、私達は
そこまで複雑じゃないですよ

伊祁「えっ


いや、それはお前だけじゃ


揚羽「私達式神は、命令が無ければ
基本やりたいことしかしませんから

透明「

伊祁「やりたいこと・・・。」
揚羽「だって、面倒じゃないですか

私達にとって人間の感情なんて関係ないし、
そんなに嫌ならやめれば良いとしか
思っていませんしね

透明「おい

揚羽「あっ

主様のやりたいことが一緒なので

問題なしです


伊祁「・・・仲が・・・良いんですね

羨ましい・・・・・。」
透明「くすっ

同じに見えましたよ

伊祁「えっ

透明「なんだかんだでお互いを庇っていましたよね

伊祁「えっ


透明「そうですよ

傍にいないんですよ

伊祁「

透明「式神は召喚した者から常に気力をもらって
行動しています

そしてそれは、召喚者が近ければ近いほど
供給が安定し、式神の強さや賢さにも
つながってくるんです

それなのに、彼は私達と対峙する際も
貴方を傍に置かなかった・・・。
それは式神にとっては不利でしかない

揚羽「それ



鴫さんは、伊祁さんを危険な目に
あわせたくなかったんじゃないですか

伊祁「

透明「そうですね

でも揚羽風に言うのであれば、鴫さんが
そうしたかったということでもあるんでしょうね

伊祁「あっ・・・・。」
何かに気づいたのか

伊祁「陽明さん・・・父と話せますか

透明「

伊祁「今は許せるかどうかは分かりません

・・・でも、やっぱり、私は

陽明さん

新しく核が生まれて感情が生まれるんですよね

透明「はい


伊祁「陽明さん


透明「わかりました

そう言うと私は、一時的に鴫さんの媒体に
霊力を与え、鴫さんを召喚する・・・。
続く・・・。







https://guardian-jewelry.com/
ポチしてくれると励みになります

応援よろしくお願いします

↓ ↓
自我あるとしても契約期間の長さか、濃さか、共鳴度合が、一般の主従のそれとは比較できないような
鴫さんも、目的は別にあろうと、伊祈さんと過ごした日々の営みに、生きなおしというか、生前息子にもできなかった親的な役割に癒やされた部分はあったかもしれない