つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ 百日紅

2019-08-11 11:04:49 | つぶやき・・


 エッセイ 百日紅 課題【絶つ・結ぶ】 2010.9.10

家の前を掃く箒の音に目が覚めた。時計を見るとまだ5時前だ。
起き上がってそっと見ると、お向かいの奥さんが、此方に向かって、百日紅の花びらを掃きとばしている、見てはいけないものを見てしまった。

近くの家に大きな百日紅があり、夏になると真っ赤な花をつけ、涼しい木蔭をつくる。
暑くて気だるいような日でも、その花の下は、子供達の大切な遊び場だった。

家を建て替えた時、私は、迷わずに植えた。
次の夏、白っぽい木肌に可愛いい花をつけた。

だが、お転婆娘のようなピンクの花に手を焼きだした。
一日中花びらが落ちる。
特に、雨が降った後や、風が吹いた後は遠くにまで飛んでいき、「わが家の娘です」と言うことが直ぐに分かる。

秋に、思い切り枝を落とすと、危機を感じるのか、次の年、長い枝を伸ばして大きな花房をつける。
咲き始めはそそと、少しの花びらを落とすが、その内に思いっ切りやんちゃを始める。

「今年は百日紅を切る」と、夫に宣言した。
「可愛そうだよ、俺が掃除をするから」と言っていたが、3日坊主で終わった。

「家もね、何年も花をつけないので、もう切ろうと相談していたら、その年から咲き出したの、木は分かるのよ」と友人は言った。

私の中にも迷いがあるから、夫や、友人達に話して、反応を見ているのかもしれない。

でも、一日中箒を手放さないお向かいの奥さんの事を思うと、やっぱり切った方がいい、花が終わったら切ろう。
掃除はきらいじゃないけど、迷惑がられるのは嫌だ。

今年の夏はとても暑い。
植木の根元が乾いてポコポコしている。
朝夕、根元を確かめながら水遣りをしているが、秋になったら切られてしまう百日紅に、たっぷりと水をあげたほうがいいのか、生命力を抑えてあげた方がいいのか迷っている。

    先生の講評・・・  青の部分 植木に託した人の心の機微が鮮明。

 

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