エッセイ ときめき
暮れに見たテレビをもう一度見たいと思っていた。
フィギアスケート、クリスマス・オン・アイスのショーで、フィナーレの高橋大輔さんの一場面を見たのだが、「あー」と思ったときは終わってしまった。
それが年を越した一月、BSで再放送された。
同じ時間、夫も見たい番組があったので、前半はチャンネルを譲った。
話題になった安藤美姫選手のコーチだったモロゾフ親子の演技や、浅田真央選手と大輔さんのペアの演技もあった。
最後のソロの演技は思っていた通りだった。
照明を落としたリンクの一点からスポットライトに促されるように滑り始めた大輔さんは、しなやかな体の線を豊かに使って、競技会の時とは違った大きな滑りをする。
「肩が固くなってるよ」夫が肩をたたいた。
気がつくと、正座をしてテーブルをつかんでいた。
久しぶりにドキドキして顔が火照った。
あの時、どんな衣装でどんな曲だったかさっぱり思い出さない。
ただ、珍しい伴奏とのコラボだったのは覚えている。
ドキドキしたのは、もう一つある。
お正月に浅草の木馬館で大衆演劇を観た。
贔屓の劇団ではなかったので、最初はどこか冷めていた。
ところがショーが始まりスポットライトに照らされた大柄な役者が、華やかな黄色の着物を着て浮かび上がった。
息子と同じ年代の座長だという役者は、ゆったりと舞い始めた。
くるりと回ったときの裾回しが艶やかで、ドキッとし涙が出そうになった。
じっと息を詰めていた。
こう言うのをときめきというのだろうか、久しくなかったドキドキ感だ。
今迄、若い男性を見る時は息子と重ね合わせ、母親のような目で見ていたような気がする。
息子たちが巣立って、母親としての感覚が遠のき、一人の女性として目覚めたのだろうか。
女性と言うのには少々老けてしまったが。
課題 【赤・青・黄・白・黒】
先生の講評 ときめき二題
官能のときめきが、かすかなのが、逆に色っぽい。
アイドルは自分や時代の欲望の反映という見方がある
さてどうかー。
この二人に共通する魅力は何なのだろう。
つつじのつぶやき・・・・赤字のところをほめていただきました。