エッセイ:木馬館
最近お正月は、浅草の観音様にお参りしてから演芸場に行く。
それが昨年は少し違ったた。演芸場の正月興行は、いつも混むが、この時は通路にま
で人がはみ出ていた。
夫は年末に足を痛めて、長い立ち見は嫌だという。あきらめてぶらぶらと歩きまわって
みたが、何か物足りない。
いつも素通りしていた「木馬館」の幟が目についた。
窓口で、「座れますか」と聞いたら、「いい席がキャンセルになったけど始まっているよ」
と、しわがれ声の答えがあった。座れれば何でもいいと言った。
古い階段を上り、係りの人に案内され、ドアをくぐってびっくりした、超満員なのだ。
席について周りを見渡すと、通路や階段まで補助椅子に座っている。
舞台では原色の照明と、大音響で踊りが始まっていた。速いテンポの曲に、観客が手
拍子を合わせる。ロックコンサートで沢山の人が手を振っている光景を見るが、まさに
そんな雰囲気だった。
休憩後は、時代劇だったが、わかりやすい筋書きを、歯切れのいいセリフで運び飽きさ
せない。
第3部は、歌謡曲に合わせた踊りのショーだった。凝った衣装で華やかに踊るのは、
若い男性がほとんど、たまに女性に変わるが今一つ物足りない、客席が少ししらけた
様になるのは何なのだろう。
これも人気の一つだと思うのは、公演が終わると、舞台衣装のまま、外で送り出しをす
る。
人気の役者が握手をし、一緒のカメラに収まってくれる。
とに角楽しかったので、一緒に撮った写真を、里山歩きと、街歩きのグループの人達に
見せた。すると皆が観てみたい、行って見たいと言う。
という事で、今年の新年会はそれぞれに木馬館に決めた。すると姉も見たいという。
大衆演劇初体験をする人の案内を3回して、よいお正月が終わった。
課題【走る・歩く・寝る】
講師の講評
日常の生活、とりわけ正月という特別な日を愛する人の心が素直に伝わる。
偽りのない楽しみの心がある。