つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ:秋の日に

2012-11-20 13:19:42 | エッセイ

2012年11月9日 課題 【未熟・成熟】

テレビのニュースで、今日は10月31日と言ったので、あれっ何かの日だと考えた。
そうだ、今日は結婚記念日だった。何気なく夫に言ったら「あーそうか、30何年になるだ」
と言うので、長男の年を思った。長男は結婚の翌年に生まれたので数えやすい。

澄みきった青空に思わず背伸びをしたら、ふとあの句を思い出した。

   秋の日に
    リーチ一発積もったら
     妻と分け合う喜びの味

結婚式の祝辞で披露された句だ。
その頃、夫は麻雀に凝っていたのを、周りの人達はみんな
知っていたから大いに受け
た。

麻雀は結婚してからも、相変わらず続いた。私も嫌いではないが、晩御飯も食べず、じ
っと帰りを待つのはつらい。
又、買いたいものが沢山あるのにそちらにはお金が回らない、時々、そのことで喧嘩を
した。

麻雀への不満といえば、もう一つある。
私の出産が近いというのに、いつも帰りが遅い。

ある夜、陣痛が来た。あちこちに電話をしたが連絡が取れなく、ぎりぎりまで待って、一
人で病院に行った。病院迄7~8分の距離だったが、荷物を持って歩きながら、痛みが
来ると道端に屈み込んだ。その時、足元でセミがジーと鳴いたので吃驚し「もう絶対許
さない」とつぶやいた。
きっときつい顔をしていただろうなと思い出す。

あの頃は若かった、今は、「絶対許さない」なんて喧嘩はしない。

「どこかで食事をしようか」と夫が言う。どっちでもいいが、あまり気乗りがしない。
何々の記念日というのには関心が薄い。
「明日だったらいいけど」と言ったら、返事がなかった。

夫は夜、赤とピンクの派手な花束を持って帰ってきた。
毎日いろいろな日が通り過ぎていく。

 

 

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