ケイン・クロニクル３ 最強の魔術師 リック・リオーダン著 メディアファクトリー

第一部完結のようです。

完了してからのインタビュー録音の形をとったとする小説ですが、内容は、兄妹それぞれの私小説と同じでほぼ完璧なリアルタイムで心理なんかもリアルタイムで書いています。
後から録音してると読者にしばしば念押しするため、兄妹は最後まで無事であることが強調されています。
アドベンチャー・ファンタジーで、これってまずくない？子供は、このほうがいいのかな？

つっこみどころいっぱいですが、多めに変なとこを：

Ｐ９の系図：エジプト神話を参考にしたようですが、オシリス以下の誕生については独自のもののようです。さて、ホルスが母のイシスより先に生まれたって間違えたままで訂正がないようです。
（ついでに、キリスト教など、他宗教の神についてはノータッチというか、存在してないものとされているかも。）

Ｐ１４：船って上が広がっていますし、岩って通常円錐みたいに下に広がってますから、作者の気持ちはわかるけど数センチの隙間って無茶です。おっと原書はインチでしょうから、もっと隙間が大きいかも。第３者の視点なら、いいかもですが、船に乗っている当事者の視点では無理があります。

Ｐ２３１：自分の体が数センチ浮いたとあります。ここは足元なんか確認する余裕なんかないとこです。第三者視点ならいいんんですけどね。

Ｐ１４：滝の落下直前に沸きあがる渦がある？どこかに実在するんでしょうか・・・

Ｐ１７：太陽神ラーは不死ではないようで、一方、大蛇アペプはほんとうに不死のようです・・・なお、オシリス以下はなんとか不死を保てるようで、こんなご都合主義でいいの？

Ｐ２９：兄妹を指導・教育しないといけないので、死者の魂は不滅って立場をとったようです。ファンタジーだからいいんですけど。ところで、現実での記憶は脳にされるわけなんですが、脳の無い魂では、記憶が・・・

Ｐ３６：葦のたいまつ：燃やしたら、すぐ燃え尽きそう。
映画でも、この手の場所はたいまつがふんだんに燃え盛っていることになっています。いつから燃えているんだとか、誰がたいまつ交換しているんだって、つっこみたくなる程に。

Ｐ３８：ジャッカルみたいにすらっと背が高くて：ジャッカルは４つ足ですから、立ってこちらを向いている人間形の生物に使う形容じゃないです。４つ足の背が高いというのは、立ったときの身長を意味しませんし。
犬を後足だけで立たせてみると胴長のイメージが強くなるかと。

Ｐ４１：天秤のお皿の説明：第三者視点なら、その説明でいいんですが、個人視点ではわからないとこも書いちゃってます。Ｖ字にへこんでるなど。

Ｐ４４：コルネットとクラリネットが歌い：詩的な表現ではありかも。

Ｐ６７：死神は、かなりたちの悪い連中：死神は複数？アヌビス以外に死神いたんだっけ？

Ｐ９３：怒涛のような波が押し寄せ、ぼくは地面にたたきつけられた。：押し流されるだけで、地面には多分触りません。

Ｐ１０１：葦舟の描写、これで、Ｐ１１８以降、空中を飛んでアクロバット飛行しながら逃げ回るんですが、さて問題が：舟には左右の舵はあるはずですが、空中となると上下あるいは上向き下向きするための機構が必要です・・・
あれ、Ｐ１３５：舵輪廻してる・・・ほんとに、これ葦舟か？
ついでに、水面を進む船が左にターンする場合、船体は右に傾けるんだけど、空中を飛ぶ舟は？

Ｐ１５１：足の無いドウボーイとコートを一体化させて車を運転させてます。コートは長いからペダルなんかに足が届くから大丈夫と。おいおい。ご都合主義すぎ。そういや、コートに舟運転させたのも、変か。

Ｐ１７３：体を黒雲にって、もはやなんでもありか

Ｐ１７１～：山は内側からの熱気で光っているっぽいのに、近づいたら、Ｐ１７５：山は空洞で照明はたいまつって、設定すりかわってますが

Ｐ２２１：ケイン一族の３千年間の歴史で、もっとも濃い血を受け継いでいる：ファラオの系図で確認したって、（ファタオ以後の系図もあったというのは置いといて）ファラオ以上あるいは同等に濃い血ってありえないだろう。遺伝子は、どんどん薄まるわけで、マンモス作ろうって話みたいな近親交配繰り返したなんて、ないはずなんだが・・・
「もっとも強い魔力」って記述も出てくるけど、神が付いていないとただの弱い魔術師って描写で矛盾している。

Ｐ２２４：創造する力を持つのは人間だけ：動物や人間を作ったのは創造ではなかったらしい。

Ｐ２６３観音開きのフランス窓を開けると海をのぞむテラスに出る：扉や戸でなく？

Ｐ２８７：カギの番号を公開してるんだけど、敵も含めた誰でも、この本が読めるという設定なんだよ？

Ｐ２９６：ヌトの項に誤り。生んだのは４神。