Photo by Chishima, J.
(産卵床にひしめくウグイ 2014年6月 北海道中川郡幕別町)
(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん 2015年6月9日放送)
去年の6月はじめ、幕別町にある十勝川千代田新水路を訪れると、浅瀬の広い範囲が波打つように激しく揺れていました。それは数百、いや数千ものウグイの群れでした。「アカハラ」と俗に言われる婚姻色の赤い縦じまを身にまとった魚たちが、産卵のため浅瀬にひしめく壮観な姿は、アイヌ語名の一つ「シリコ・ポップ(一面に煮立つ)」そのものでした。
コイ科に属するウグイは十勝の川の中流・下流域で最も普通な魚で、大きさは30cmほどになります。一生を川で過ごすタイプと海に下るタイプがあり、海に下るタイプも5~7月頃に川を遡って、主に雨の後に川の中流で産卵します。ウグイの遡上を追いかけて来るのか、同じ時期に十勝川の中流で少数のオオセグロカモメを見ることがあります。
あまり美味しくないようで、釣り人からも狙った魚以外の「外道(げどう)」として扱われがちです。ただ、冬から春にかけては脂が乗って唐揚げやいずしにすると美味だともいい、アイヌもブツ切りにして汁物に入れたり、ルイベや干物にしたりして食べていました。また、かつては石狩川、網走湖など北海道内で年間100トン以上が漁獲されていたそうです。
十勝にはウグイのほか、エゾウグイとマルタウグイも生息しますが、ウグイに比べるとずっと少なく、エゾウグイは北海道の絶滅のおそれのある野生生物のリスト、レッドデータブックで留意種に指定されています。
(2015年5月31日 千嶋 淳)
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