鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

十勝の自然33 エゾフクロウ

2015-07-22 10:36:33 | 十勝の自然

Photo by Chishima, J.
フクロウの亜種エゾフクロウ幼鳥 2015年6月 北海道十勝管内)


(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん 2015年6月23日放送)


 民話や童話で馴染み深いフクロウですが、実際にご覧になったことのある方は少ないのではないでしょうか。十勝にも数種類が生息し、中でもフクロウの一亜種、エゾフクロウは平地や山林に広く分布します。樹洞で繁殖するエゾフクロウのヒナは、孵化から一ヶ月ほどで巣穴を出て、しばらくは近くで親鳥から餌をもらって過ごすため、木の枝や幹に、時に数羽が寄り添って並ぶ愛らしい姿を見られます。
 エゾフクロウの繁殖地の中には公園や神社もあり、それらの場所ではヒナが巣外に出ると、多くのカメラマンや観察者が殺到します。可愛らしいヒナを見たい、写真に撮りたいというのは人間として当然の感情です。ただ、一部にマナーの悪い人がいて、環境の悪化でただでさえ減っているフクロウの繁殖を脅かしているのも残念ながら事実です。
 ヒナの真下まで近付く人、暗い森の中でフラッシュをたく人、昼間は寝ていることの多いフクロウを起こそうと手を叩く、あるいは故意に音を出す人などがいます。大声で会話する人たちも少なくありません。
 そうした、鳥にとっての「嫌がらせ」が続けば、おっとりしているようで実は神経質なフクロウはその場所を放棄してしまうでしょう。いつまでもフクロウが安心して子育てできる十勝であるよう、撮影や観察の際には適度な距離を置く、フラッシュや音を出さない、あまり長時間滞在しないなど、フクロウへの思いやりを忘れないようお願いいたします。


(2015年6月21日   千嶋 淳)

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