「愛なき世界」のことは、前にも書いたが、野田首相の「TPPはビートルズ」、「ポール・マッカートニーは日本」の、マヌケな例えがあったので、ビートルズのことをまた考えていた。
ピーターとゴードンの「A World Without Love(愛なき世界)」は、1964年の大ヒット曲だ。ビルボード・ホット100でも、キャッシュ・ボックスのチャートでもトップになった。日本でもヒットした。
ピーターとゴードン A World Without Love(愛なき世界) http://www.youtube.com/watch?v=v_lJPUKTchI&feature=relmfu
作詞・作曲は、“レノン/マッカートニー”となっているが、これはポール・マッカートニーの曲だ(わたしは、いかにもポール・マッカートニーらしい名曲だと思う)。ジョン・レノンとポール・マッカートニーは、ごく初期の曲しか共作してない。“レノン/マッカートニー”となっていても、ふたりで仲良くつくったわけじゃない。ポール・マッカートニーの曲か、ジョン・レノンの曲か、いずれかなのだ。
レコーディングのときに、アレンジに関してアイデアを出し合ったことは想像がつくが、あきらかにふたりの曲調は違う。歌詞もメロディーも、根本的な発想が違う。これは、ビートルズを聴いている人たちがよく知ってる常識ではないだろうか。「これはジョンの曲。これはポールの曲」と区別がつくはずだ。
ジョージ・ハリスンの曲以外は、すべて“レノン/マッカートニー”とクレジットしたのは、著作権使用料を分配するときのトラブルを予防するためだったのだろう。「どんなことになっても、ビートルズの収穫は、山分けだよ」と。これは、マネージャーのブライアン・エプスタインの助言だったのだろうか?
『ホワイト・アルバム』のエンディングの曲「グッドナイト」は、ノスタルジックで、メロディアスな曲だが、ジョン・レノンが息子ジュリアンのために書いた子守唄を、ジョージ・マーチンがアレンジしたという。もちろんクレジットは、“レノン/マッカートニー”だ。歌っているのは、リンゴ・スター。ストリングとコーラスのアレンジと指揮は、プロデューサーのジョージ・マーチン自身。
ビートルズ Good Night http://www.youtube.com/watch?v=5EoQVaQGXmM
ポール・マッカートニー The Back Seat Of My Car http://www.youtube.com/watch?v=uVDjWKDbYhM
ポール・マッカートニーは、ビートルズがなくても、稀代のメロディー・メーカーとして世に出たミュージシャンかもしれない。
ピーターとゴードンに、ポール・マッカートニーが「A World Without Love 愛なき世界」を提供したとき、ポールは、ピーターの妹で女優のジェーン・アッシャーと同棲していた。(リンダと知り合うまえのことだ)。
ジェーン・アッシャーとポール・マッカートニー
ビートルズがメジャー・デビューしてからのことだが、ポールは、ロンドンのアッシャー家の屋敷で、ピアノのある部屋に住んでいた。ピーターとジェーン・アッシャーの母親は、音楽大学の教授で、ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーチンのオーボエの先生だ。
このアッシャー家に居候しているとき、ポールはジェーンの母親にオーボエを習っていたという。トランペットとピアノは、幼いときから父親に教わっていた。(ポール・マッカートニーの父親は、若いとき、トランペットのプレイヤーだった)。
ギターとベースとピアノを弾き、ドラムを叩くだけでなく、管楽器を演奏することが、ポール・マッカートニーがつくる、明快で美しいメロディーに反映しているのではないだろうか。
ポール・マッカートニー The Long and Winding Road http://www.youtube.com/watch?v=JrcYPTRcSX0
ビートルズ Reunion live http://www.youtube.com/watch?v=5NJSO_9rcuk&feature=relmfu
ビートルズ Reunion live http://www.youtube.com/watch?v=852nbJPJpww&feature=relmfu