『松島や ああ松島や 松島や』というのは、松尾芭蕉作ではない。芭蕉とはまったく関係ない。江戸末期の狂歌が元だ。相模の狂歌師、田原坊の『松嶋や さて まつしまや 松嶋や』がオリジナルではないか、といわれてる。
だいたい、芭蕉は、こんなクダラン、駄作を作らないし、発表しない。季語がないから、俳句ですらない。
それに「奥の細道」で、芭蕉は、松島の絶景に感動して、名文を残しているが、俳句はつくらなかった。そう書いて、曽良(そら)の句を紹介している。名句だ。
松島や 鶴に身を借(か)れ ほととぎす 曽良
「こんなに美しい松島だ。白いツルになって、優雅に、この松島の空を飛んでみてはどうだい、ホトトギスくん」と、曽良は詠んだ。ホトトギスは、夏の季語。松も鶴も、長寿を象徴する縁起もの。
ホトトギスは、カッコウの仲間。ほかの鳥の巣に託卵する鳥だ。じぶんで子育てしない。したたかな鳥だ。
ホトトギスの鳴き声 http://www.youtube.com/watch?v=q_jYW_CZrMI
河合曽良(そら)は、松尾芭蕉の『奥の細道』の旅に同行した高弟。蕉門十哲のひとり。伊勢の長島藩につかえた、元武士。もちろん松尾芭蕉も、元武士だ。
松尾芭蕉が、絶句した松島の絶景、その宮城県は、震災で大きな被害をうけた。その宮城県の民謡で好きなのがある。長持歌は、いろんな地方にあるが、宮城の長持歌もじつにいい。
長持唄は、婚礼、結婚式の歌だ。めでた祝い歌だが、可愛い娘を手放す親の、寂しさ悲しさ不安が歌われ、せつない別れの歌でもある。「今度会うときは、孫をつれてきてね」と、娘をおくりだす親の、別れの歌だ。
今日は 日もよし 天気もよいし
結び 合わせて 縁となる
蝶よ 花よ と育てた娘
今日は 晴れて 嫁になる
さぁさ お立ちだ お名残おしい
今度来る時 孫つれて
宮城の長持唄 http://www.youtube.com/watch?v=rMtOhXMUSGw
漁業が大きな被害をうけた。仙台・宮城で、大漁を願い、祝う歌がある。だれもが知ってる、斎太郎節だ。震災にあったすべての人たちに、このユーチューブの映像を送りたい。
2009年、四国の合唱フェスの映像のようだ。わたしは、泣いた。
全四国男声合唱フェス アンコール 「斎太郎節」 http://www.youtube.com/watch?v=RVDMfybrxFQ&feature=related