tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

鳥の巣箱、スズメの逆襲

2016年05月08日 09時33分22秒 | 環境
鳥の巣箱、スズメの逆襲


 みどりの日も過ぎて、木々の緑もますます色濃くなっています。我が家の鳥の巣箱を載せた豊後梅の木も、たくさんの枝を伸ばしはじめています。

 ところで、この連休中に異変が起こりました。シジュウカラのツガイが来なくなって、代わりにスズメが出入りするようになったのです。
 
 すでにご報告しましたように、今年は巣箱の入り口の直径を27㎜~28㎜にして、シジュウカラ用に変えていました。スズメは30㎜というのが専門家がネットで書いているところだからです。

 スズメが入ろうとして、狭いので大変苦労し、その後来なくなったことも報告しました。ところが、この処その入口をスズメが、いとも自然に通り、巣箱に入って行くのです。
 スズメが入るようになると、シジュウカラは来ません。スズメのほうが圧倒的に強いようです。

 以前入るのに苦労したスズメが、なぜ今楽々と入っていくのか、これでは、折角入り口を狭くした甲斐がありません。どういうことなのだろうかと考えてみました。

 スズメが人間のようにダイエットするはずはありません。太いスズメと細いスズメがいるのかというと、そんな個体差はないと物の本にはあります。

 考えついたのは、「ふくら雀」などという言葉があるように、寒いうちはスズメは膨らんでいて、多分、羽も「厚着」なのでしょう。暖かくなって羽も生え変わり「薄着」になって、スマートになって、28㎜でもすんなり通れるようになったのではないでしょうか。

 これが当たっているかどうかわかりませんが、巣箱は今年もスズメに占領されることになりそうです。
 以上が現状ですが、スズメには昔の義理もあるので、まあいいかなどと思っています。

変動相場制の不都合な点

2016年05月07日 10時01分41秒 | 国際経済
変動相場制の不都合な点
 前回、サミットで変動相場制についてのまともな論議をやってほしいと書きましたが、その理由も少し書いておきたいと思います。

 学者や専門家の中にも、変動相場制は合理的だという考えもあります。理由は、世界には競争力の強い国も弱い国もあるが、通貨価値がマーケットで決まる変動相場制では、競争力の弱い国の通貨価値は下がり、競争力を回復するし、強すぎれば通貨高になって、競争力の国際的なバランスはマーケットによって、実現されるから、大変合理的なシステムだという説明です。

 力のある国の通貨価値は上がりますから、通貨価値が高まることはその国が優れたパフォーマンスを上げている証拠の勲章だという見方もあります。
  プラザ合意で日本が円高になった時 も、円高は日本の価値が上がったことで日本への勲章だから喜ぶべきだと言われた方も当初は大勢いました。

 確かにそういわれればその通りですが、経済社会の進歩発展という立場から考えるとこれには決定的な欠点があります。

 世界の国々は、それぞれにより豊かで快適な国づくりをしようと頑張っています。科学技術や、社会制度をより優れたものにして、良いモノやサービスをより安く提供し、しかも快適な生活環境を維持しようとしているわけです。

 一方にはずっと遅れた国もあります。そうした国は、科学技術を学び、生産性を高め、良い社会制度を作って先進国に追いつこうと努力をしなければなりません。

 こうした国の間で為替レートの調整が行われた場合、どうなるでしょか。
 頑張り屋の国がいくら頑張って生産性を上げても、その分通貨高になって競争力は強くなりません。逆に頑張らない国ではは通貨安になって、そのままでも競争力が付きますから、特に頑張る必要は無くなります。
 科学技術や経済社会のシステムを高度化して国民経済の生産性を上げるメリットは減少します。

 戦後の通貨の動きを見ても、£1=1008円だった英国ポンドは今は155円、$1=360円だった米ドルは今は106円です。
 結果的に先進国が、生産性を上げずに、競争力を維持するために役に立ったのが変動相場制です。

 近年、日本も$1=80円を120円に切り下げて、アベノミクス大成功と言っていますが、イギリスやアメリカの通った道に一歩踏み込んだということでしょう。

 そんなに頑張らなくても、為替レートが調整してくれるからいいよ、というのが変動相場制の意義で、頑張り屋には損で怠け者に得なシステムということになるのです。

 さらに今日の変動相場制には、もう一つの大きな問題があります。それは、為替レートは本当に正常なマーケットによって決まるのかという問題です。

 アメリカが今回、日本、ドイツ、中国などの5か国を、為替政策のよう監視国に入れたことに見られますように、為替マーケットへの影響力は基軸通貨国が決定的に有利でしょう。
 そして、為替マーケットのメインプレーヤーである国際投機資本は、ほとんどアメリカ本拠のようです。
 「マーケットは正しい」といっても信用する人は今では余りいないでしょう。

 これでは、世界経済がうまく機能するのは至難です。今の人類には、これだけの知恵しかないのでしょうか。それでは情けないというのが前回の指摘の趣旨です。


伊勢志摩サミット、財政出動か為替問題か?

2016年05月06日 12時41分33秒 | 国際経済
伊勢志摩サミット、財政出動か為替問題か?
 安倍さんは伊勢志摩サミットを控えて、日本流根回しでしょうか、各国を回っています。議長国の首相がそこまでやるというのは、大変丁寧で結構なことだと思いますが、何とかいい成果に繋がって欲しいものだと思っています。

 報道によれば、各国首脳に財政出動について打診しているようですが、安倍さんはスティーグリッツ氏などからレクチャーを受けたとしても、あまり賛成の国はないでしょう。
 財政出動しても、そのあとが不安でしょうし、今の消費不振は、格差社会化のせいが大きいですから、効果より悪影響が懸念されると解っているのでしょう。
 もちろん日本自身も事情は同じです。

 すでにアメリカなどが打ち出していますように、何か、為替問題のほうが、本当は重要な課題だと、認識されてしまっているような感じもします。
 率直に言えば、今の世界経済がこんなにおかしくなった原因には変動相場制が大きな役割を果たしているのですから、今回の議長国であり、為替政策に翻弄されてきた日本としては、こちらの問題を取り上げるべきなのでしょう。

 もともと貨幣価値というのは経済活動における「メートル原器」のようなものですから、メートル原器が伸び縮みしたのではモノの正確な設計図が書けないのと同じように、通貨価値が変動したら、正確な経済計画や経営計画の策定などは不可能です。

 そんなことは人間は疾うに解っていたので、出来るだけ価値が変わらない「金」を通貨にしたのです。
 しかし、通貨を管理する基軸通貨国が、きちんとした経済運営をしないものですから、限度を終えて通貨量が増え、金との兌換が出来なくなり、ずるずると変動相場制になってしまうのです。これは「通貨の汚染」、マネーポリューションです。

 かつては「悪貨は良貨を駆逐する」などと言われました。第一次大戦後には「為替ダンピング」問題が起こり、そうした問題が起こるたびに、人間は通貨の価値をきちんとしようと反省してきています。

 第二次大戦後で言えば、そうした反省に立って、ブレトンウッズ体制を作ったりするのですが、人間は本来「だらしがない」のでしょうか、それとも楽して儲けたいと考えるのでしょうか、何度でも同じ過ちを繰り返すのです。

 今回の伊勢志摩サミットでは、「プラザ合意」為替レート変更(過度な円高)の恐ろしさを実体験し、今また円レートの動きに一喜一憂している日本が議長国になるですから、少し人類社会の将来について本当に役に立つようなことを話し合ってもらいたいものです。

 世界人類にとって、もっと重要なのは、覇権争いや戦争、紛争の問題でしょう。こうした問題からは人類は、何とか早く卒業してほしいと思う所です。

 一方、サミットの主要議題が経済問題であるならば、ニクソンショック以降、ずるずると嵌まり込んだままになっている変動相場制を放置するのか、それとも人類がもともと希望する「安定した通貨価値」の問題について、何か新しい知恵はないのか、本気で取り上げてもらいたいものです。

みどりの日:緑色とりどり

2016年05月04日 11時00分11秒 | 環境
みどりの日:緑色とりどり




 今日は「みどりの日」、日本中の「みどりさん」にとっては「私の日」ですね。
 折に触れて書いていますが、緑は人間の心を安らかにする色です。英語でもGreenといえば、良い自然環境を象徴する言葉になっています。

 人間を含む動物が生きているのは酸素のお蔭ですが、地球の歴史46億年のうち、前半は酸素がなかったとのことです。シアノバクテリアのような藻類が生まれ、光合成がクロロフィル(葉緑素)によって行われ地球の大気圏に酸素が存在することになります。

 植物が進化し酸素の量が増え、6億年ほど前のカンブリア紀に至って、漸く酸素を取り入れて呼吸する動物の誕生が可能になったということです。

 緑色(葉緑素)が酸素供給のシンボルですから、酸素がないと生きられない動物は、緑色を見るとホッとするのは当然です。これは動物の海馬の中に刻み込まれた原始の記憶、本能なのでしょう。

 みどりの日を祝うのはずっと以前から大賛成です。葉緑素は人間生命の根源ですし、この時期のみどりは、様々な緑がまさに「緑とりどり」を競います。

 そんなことで我が家では、自然に生えてきたき木も何とか育てようとしています。 
生ごみから生えてきたアボカドの緑はプロフィールのところに張り付けてありますが、上の写真は何年も前に生えて来たケヤキとエニシダです。大事に育てています。

要注意、アメリカの変化

2016年05月03日 09時46分30秒 | 経済
要注意、アメリカの変化
 アメリカの対外経済政策に、ジワリと変化の様相が感じられます。
 大統領選の混迷も要因の一つかもしれませんが、トランプ氏の歯に衣着せぬ発言が、政治家のポピュリストの側面を刺激しているのでしょうか。

 実はそれ以上に、アメリカ経済の弱さがそうさせているのでしょう。FRBも昨年あたりは、経済の活況、雇用の好調、シェールオイルの威力などで、物価の上がり、かなり早期に金利の引き上げを進められるのかもしれませんが、現実は難しいようです。

 もともと競争力の落ちているアメリカ産業です。金利の引き上げは当然ドル高につながります。しかしドル高になれば、アメリカの競争力は一層低下します。
 アメリカに必要なのは、金利を上げてもドル高にならないという状況でしょう。アメリカならばそれができると思ったのかもしれません。

 しかし長い目で見れば、経済原則はきちんと働くのです。ドル高は不可避でしょう。それでは困るアメリカは、中国、ドイツ、日本、台湾、韓国の5か国を指定して、為替政策を監視するリストに入れました。

 判定するのはアメリカですから、恣意的になりかねません。アルゼンチンの国債償還問題でも、 非常識な法律判断が出ていますが、日銀もこれからは、アメリカの匙加減に十分注意を払わないと、自由に政策も打てないことになりそうです。

 誰しも感じていますが、このところの円相場の動きは荒いという日本に対し、アメリカは「秩序だっている」としているとのこと、議論しても多分水掛け論で、最終的にはアメリカが正しいことになるのでしょう。

  アメリカの上記5か国を監視リストに入れた判断基準は基本的に3つ、対米黒字、経常黒字、為替介入です。為替介入については、上のように意見が合わない可能性が大きいですから、検討すべきは、対米黒字と経常黒字でしょう。

 対米黒字はアメリカからいろいろ買えばいいのかもしれませんが、それは当座の策です。事ここに至って日本が大手を振って取るべき政策は、このブログで再三述べてしていますように、 経常黒字の縮小策 国内消費の拡大策です。それこそが王道でしょう。

 表題のように、アメリカの変化には要注意ですが、日本の取るべき道は、アメリカへの反応ではなく、日本経済を活性化させる消費拡大策でしょう。
 日本経済・社会を健全に立て直す政策をとることが、結果的にアメリカへの最善の対応策にもなると考えるべきでしょう。

電気の貯蔵技術を国家戦略に

2016年05月01日 09時52分22秒 | 科学技術
電気の貯蔵技術を国家戦略に
 今日から5月、浅緑から深緑、様々な緑に囲まれる時期です。 太陽エネルギーと葉緑素、生命を作り出す源の躍動、日本経済のエネルギーもあやかりたいところです。

 一国の産業活動の状況を一致指標で見たいと思ったら、電力の使用量が最も適切な指標と言われます。この場合、使用量といっても、通常は発電量を使っているのが現状ではないでしょうか。

 発電量と使用量が同じというのは、電気が貯蔵できないからです。電力会社は、常に電力使用量と同じだけ発電しなければなりません。まさに電気は、ジャスト・イン・タイムの典型でしょう。

 ですから電力会社は、最大使用量を予測して、最大使用量を供給できる生産設備を整えなければなりません。しかし最大使用量を記録することは滅多になくて、設備の稼働率はだいたい70~90パーセントです。

 ところで、もし電気が貯蔵できるのであれば、発電設備は平均使用量の相当する分だけでよいことになって、余った分は貯蔵しておいて、足りないときに使えばいいわけです。
 貯蔵できるものの典型はおカネで、おカネが出来て人間の生活は大変便利になり、さらに銀行のようなおカネの貯蔵機関が出来て、一層便利になりました。

 ならば、もし、電気の貯蔵が可能になれば、人間生活は随分便利になるでしょう。ということで、人間は電気の貯蔵を考えてきました。
 最初は揚水発電あたりで、電気エネルギーを位置のエネルギに変えて貯めておくといった単純なものでしたが、化学反応を利用して電気を貯蔵する性能の良い蓄電池が出来て、多様性が増しました。

 プラグインハイブリッドカーや電気自動車のバッテリーと家庭の電源をつなぐことも現実になっています。さらには、家庭用蓄電池も製品化され、ソーラー発電の電気を家単位で貯蔵して、電力会社から電気を買うのは非常時だけといった「スマートハウス」もあります。

 産業界用には、さらに大規模の蓄電設備が開発されていますし、燃料電池の登場で、電気を水素にして貯蔵するといったことも現実になっています。
 さらに進めれば、超電導利用で、究極の蓄電も研究されています。

 問題は蓄電のコストです。これが壁になって、現在の電力会社方式の電力供給が最も安いということになっているわけです。これも原発の後始末を考えれば、本当に安いかわからない、とも言われますが、差しあたっては安いのです。

 電気の需要はこれからもますます増えるでしょう。そして資源問題、環境問題も深刻化するでしょう。 そう考えると矢張りこれからの出番は電気の貯蔵を可能にする「蓄電」技術の進歩がますます大事ということになりそうです。

 この問題と今の日本経済の停滞状態を考え合わせますと、目標が決まれば必ず頑張る日本人です。「ペイする蓄電技術の開発」を国家目標に掲げて、突っ走るというのはどうでしょうか。

 考えてみれば、人類の活用できるエネルギーは、大部分が太陽が無償で提供してくれる太陽光、太陽熱が源泉です。石炭も石油も、川の流れも風も波も、太陽エネルギーが作り出したものです。
 この太陽の恩恵を、もっと巧く使いこなせるように人間の知恵を絞ることで、人類の生活も環境も、もっと便利で快適なものになるのではないでしょうか。

 人間がその知恵で自然に働きかけ、自然をより有効に活用できるように考え、より快適な生活環境を作るという思想は「 里山」と同じです。これは日本人が最も得意とするところではないでしょうか。