tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

成長経済回帰への具体策 その3 賃上げで景気回復は?

2010年05月27日 10時22分42秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その3 賃上げで景気回復は?
 国際金融の混乱はまだ続きそうですね。巨大資本力とノーベル賞級の金融テクニークを持っていて、キャピタルゲイン獲得のために相場の乱高下を期待(演出)する人たちがいるようですから、そう簡単ではないでしょう。

 ドイツでは、真剣に空売り規制や過剰なヘッジ、デリバティブの禁止などを検討しているようですが、ボルカールールには米国内でも異論も多く、金融規制はなかなか進まず、Naked Short Selling (ハダカ空売り)などが、平気で行われるような状況のもとでは、何かちょっとしたことが原因で、まさに「一犬虚に吠えて、万犬実を伝う」のような経済混乱は避けられません。

 ここでの問題はそのトバッチリの円高で、まともに悪影響を受ける日本経済です。ということで、話を実体経済に戻して、日本の消費拡大問題です。

 労働組合にも時々ありますし、評論家にもありますが、消費を増やしたいのだったら、賃上げをすればいいではないかという主張です。「所得が増えないのに、消費を増やすわけがない」といわれれば、「そうか」と思う方もおられると思います。

 経済の拡大過程ではそうした場合もありえましょう。しかし、今問題になっているのは、生産したGDPはきちんと分配しているのに、それを「使い残している」という問題です。

 具体的に考えて見ましょう。今の企業は高度成長期のように、見込み生産をしません。需要があってはじめて生産をするわけです。今の状況では、企業が利益を削って賃上げをしても、需要はあまり増えそうになく、それでは、企業も、日本経済も自滅です。

 今の日本経済にとっては「はじめに需要ありき、需要は神なりき」(はじめに言葉ありき、言葉は神なりき:聖書)でないと、とても動かないといったところでしょうか。

 人類の生活の最初は採集生活でしょう。需要は人間とともにありますが、生産は、「需要するもの」が手に入らないところから始まります。黒マグロもウナギも、需要があれば、養殖の研究開発が進み、需要の充足が目指されます。

 必要なのは、消費者が、欲しいものを持つことです。消費者の需要があれば、生産(企業が担当)はついて来ます。

 では今、消費者は、何を欲しがればいいのでしょうか。もう、そんなに欲しいものはないよ。現状で十分満足といった声も聞かれるこのごろです。