tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費軽視は政策の誤り

2010年10月30日 12時16分58秒 | 経済
 新車購入への補助金がなくなり、エコポイントも半減することになっています。理由ははっきりしていて、予算を使いきって、もうカネがないから、という事だそうです。
 金がないからもう終わりといいながら、政府は5兆円規模の補正予算を組んで、経済のテコ入れをしようとしています。

 では、新車購入への補助金やエコポイントは、経済のテコ入れではないのでしょうか。そんなことはありません。マスコミが報じ、みんな良く知っていますが、補助金廃止で明らかに新車の売れ行きは落ちました。エコポイントの半減も、当然同様に消費のマイナス効果を持つでしょう。

 以前も書きましたように 、この補助金の場合には、政府が出した金額の数倍から10倍の金額を消費者が払って車や家電を買うわけです。ですから、政府が予算を使いきったという事は、その予算の数倍から10倍の自動車や家電の購入支出があったという事で、こんな効率の良い消費拡大策(GDP拡大=経済成長策)はなかなかありません。

 こうした消費刺激策は、日銀の金融緩和ではありませんが、経済の風向きが変わって、消費が安定的に持ち直すまで、継続してこそ意味があるのではないでしょうか。
 住宅の省エネに関する補助金も30万円ですが、100万円ぐらいにすれば、1000万円レベルのリフォームも進む可能性は高いと思います。

 政府は「そんな補助金ばかりやってはいられない、他にやることがあるから補助金は打ち切って、補正予算を組み、地域活性化、社会資本整備、中小企業対策、子育て、医療、介護、福祉、それに、雇用や人材育成に使う」ということのようです。

 しかしそうした分野にカネを使っても、政府支出の数倍から10倍などというGDP拡大効果は多分ないでしょう。しかも、補正予算で狙っているようなことは、消費が拡大して、企業が潤えば(自動車や電機、住宅産業などは裾野が広いですから)、その結果、雇用も増え、サラリーマンの収入も増え、子育ての希望も叶い、下請け中小企業は喜び、社会資本整備や福祉のための財源も生まれてくるという形で改善されるものなのです。

 今、日本で一番足りないのは、消費需要 です。物が売れなければ、経済は回転も成長もしません。高齢者を中心に金を持っている消費者にカネを使ってもらうことが一番の経済対策なのです。
 今年の政府経済見通しによれば475兆円のGDPの内、15.8兆円を使い残すことになっています。これが国際経常黒字になって、「円高」を呼び、日本経済をさらに苦しめます。
 
 効率の良い補助金をどんどん出してでも、国民にGDPを使い切ってもらい、その分(15兆円=経済成長3%分)だけ経済成長を実現することが、日本経済を根本から治療する何にもまして大事な経済政策の第一歩だと思うのですが、政府は残念ながらいつも目先の対症療法にばかりとらわれているようです。


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