tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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日本の国際収支は大丈夫か?

2023年03月07日 20時44分20秒 | 経済
先日(2/27)に2022年度の貿易収支が大幅な赤字になったことに触れました。
最近の円安傾向が、単に日米金利差によるだけでなく、日本の輸出競争力が落ちて来ていることの反映でもあるともみられるところからです。

先日2023年1月の国際収支統計が発表になり、1月は経常収支も大幅赤字になったことが報道されました。

このブログでは、日本は、経常収支は万年黒字、アメリカは万円赤字と書いて来て言いますが、日本は第一次所得収支(海外からの利子配当などの受入れ)が、毎年20~30兆円の黒字なので、貿易収支が赤字でもそれで埋め合わせて経常黒字に出来ています。

所が今年の1月は、貿易収支の赤字が大きすぎて第一次所得趣旨では埋めきれず、経常赤字になってしまったのです。

経常収支が赤字になれば日本もアメリカと同じ、財政も赤字、国際収支も赤字という「双子の赤字国」になってしまいます。

アメリカは基軸通貨国で有利ですが、日本が双子の赤字になれば、国際的な信用は失墜し、円や国債の価値は暴落、国債紙屑への第一歩、などと心配の声も出て来ます。

という事で、昨年来の月別の貿易収支と経常収支の動きを先ず見てみました。
       貿易収支と経常収支の推移(億円)

                      資料:財務省

茶色の貿易収支の柱はゼロより下、つまり赤字ですが、青の経常収支がゼロより上、つまり黒字という事は、第一次所得収支で埋め合わせているという事ですが、昨年も今年も1月は経常収支も赤字で、今年は特にひどい赤字です。

1月は休みが多く輸出が伸びないという事もあるようですが、それにしてもこの1月の経常収支の赤字は3兆円と大きいです。これが1年続いたら、第一次所得収支ではとても埋めきれません。赤字国日本になります。

そこで、貿易赤字を輸出と輸入のバランスで見てみます。

       輸出額と輸入額の推移(億円)

                        資料:上に同じ

茶色の輸入額の方は原油価格の下落等で減って来ていますが、輸出額の落ち込みが大きいことが解ります。
1月だという事もあるのでしょうが、この落ち込みが、一時的なもので、2月から復活するかどうか、そのあたりが問題です。

半導体不足とかの、サプライチェーンの不具合といった面が中国などとの関係で深刻になる可能性が問題になったりすると些か心配です。
2月以降の数字がどうなるかを見極めなければなりませんが、要注意でしょう。

大局的にみれば、国際資源価格の落ち着き、円安の定着といった状況であれば、日本の輸出は伸びる可能性は高いと思われますが、それには国内生産が必要です。工場は海外ではなく生産設備の国内回帰が必要です。それには国内の熟練度の高い技術者・技能者が欠かせません。

こうした点では手を抜いてきた日本(非正規の多用など)には些か心配な面もありますが、これからの日本企業の頑張りに期待したいところです。

2月以降の数字の動きを追うとともに。もう一つあまりきずかれていない赤字の原因についても、出来れば次回取り上げていきたいと思っています。

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