tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

電力供給の未来に生かせ

2011年03月27日 11時10分27秒 | 社会
電力供給の未来に生かせ
 地震、津波で多くの人命と積み上げてきた生活を失いながらも、その悲しさを乗り越えて、新たな日常の再建へと立ち上がる被災地の人々の強い意志が徐々に回復しつつある中で、原発の問題は、日本社会に、さらには世界のエネルギー政策にも大きな影を落としているように思われます。

 人間生活のベースである土地がある限り、伝統や文化や、人のつながりの再建は不可能ではありません。しかし、原発事故の場合は、土地があっても住むことができないという郷土喪失の問題が発生しています。

 「予断を許さない」といった発言が政府や関係者から出ますが、先行きが見えないことは、人間の意志の発揮の決定的障害でしょう。
 線量計を止めてまで復旧にまさに必死で立ち向かう方々の覚悟の行為に心を打たれながら、この問題を、将来に向けてどう受け止めるかを、我々も真剣に考えなければならないのではないでしょうか。

 福島第1原発でも、1~3号は稼働中で、4~6号は点検中だったようです。ベース電力を供給する原発の稼働率は意外に低いのだなという印象を受けました。それでも、原発の発電コストは相対的に低いということです。

 しかし、今回のような災害を考えた場合採算はどうなるのでしょうか。周辺装置まで含めた徹底的に安全な原発など考えたら、コストが膨大になって現実的ではなかった、という専門家の声も報道されていましたが、今後の技術革新でそれが可能になるのでしょうか。
 電力は今や我々人間社会のあらゆる活動のベースです。電力なしの人間生活が考えられない以上、我々は、電力供給の問題を徹底して考えていかなければなりません。

 それはあくまでも、生産と消費を繰り返す中で、技術革新と生活の快適さ、そしてより良い社会環境の実現を目指す「この社会に生活する人々」にとって、より望ましいものでなければならないでしょう。
 原発災害のこれ以上の拡大を防ぐべく、まさに決死の活動を続ける人々の安全を心から念じ、また祖先から受け継いだ生活の場を追われる人々との痛みを分かちながら、この最悪の経験を、将来・未来の日本のエネルギー政策にどう生かすのかをみんなで考えなければならないのでしょう。

 そのためには、この経験のあらゆるデータを克明に積み上げ、コストと安全のすべてを考えつくした、利害や立場の偏りのない判断が必要になってくると思います。
 政府、関係業界、関係学会などの、未来に向けた誤りない判断を願うや切です。


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