tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

変動相場制の中でより合理的な為替政策を考える

2024年07月28日 21時12分45秒 | 経済

昨日の朝日川柳に

「ふと思う 何だったのか あの介入」というのがありました。

円安が160円台まで進み、さらに進めば日本では輸入インフレが加速して消費者物価上昇の可能性が高くなるなどなど、財務省は種々懸念したのでしょう。

もともと円レートが160円などというのは実体経済とはレベルの違う水準で、国際投機資本がマネーゲーム上の思惑の結果でしょうから、財務省としては「そんな勝手は許さん」という正義感(?)もあったのかもしれません。

結果は2円ほどの円高になり、マスコミでもタイミングの良い介入で明らかに効果があったといった評価が多かったようです。

しかし、介入の効果はせいぜい2~3日で、効果は長く続かいようで、アメリカではイエレン財務長官が、為替介入は多用すべき手段ではないと発言し、日本は為替操作こくといわれることになりました。

それから何日たったでしょうか、先週あたりから急に円高傾向が明らかになり、週末は153円台です。

この円高に驚いて日経平均は暴落という事になっています。

財務省が円安阻止のために、知恵を絞り、何兆円も使い、多大のコストと労力をかけて何日間か2円ほど円高にする努力をしたすぐ後から、アメリカ経済の様子が変わってき近く金利引き下げかという見方が背景が大きいといわれます。

さらに、日本も金利の正常化(引き上げ)の方向という見方もあるわけで、少し長期に見れば、円レートを取り巻く状況は円高傾向が強まる方向への変化の時期を迎えるという認識はどちらかというと一般的です。

冒頭の川柳を投稿された川柳子は、財務省の先見能力に疑義を呈したという事なのでしょう。

言われてみれば確かにその通りですが、それほど国際投機資本によるマネーゲームは予測が難しい世界だという事でもありましょう。

第二次大戦後、絶対的な経済力を持つアメリカは固定相場制を良しとしブレトンウッズ体制を作りましたが、1970年代に至り、国際収支赤字国に転落、窮余の策として変動相場制導入になったことはご承知の通りですが、その後為替の変動が、世界経済の不安定と、マネー資本主義の盛行を生んだことは明らかでしょう。

その中で特に日本は、変動相場制に対する対応に失敗することが多く、経済運営の失敗につながることが多いようです。

ならば、対応の下手な日本はどうしたらいいのかという事になるのです。

という事で考えてみますと、こんな事ではないでしょうか。

基本は、マネーゲームは短期視点、実態経済活動は中・長期視点だという事です。そして、為替レートは中・長期的には実体経済の状態に引き寄せられるのです。

マネーゲームで相場を作るような力はとても持てない日本ですから、出来れば少し長い目で物事を見て、あまり短期の損得や相場の行き過ぎた変動など気にしない事にするのがいいのではないでしょうか。

長期的視点をしっかり持って、確りした経済政策をとっていれば、一見稚拙のように見えて、それが最も賢いことなのではないでしょうか。