tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

<月曜随想>アメリかについていくのですか?

2024年07月15日 15時01分46秒 | 国際関係

アメリカでまた大変な事件が起きました。トランプさんが演説中に狙撃されたというのです。狙撃した人物は即座に射殺されたということです。

日本だって安倍さんが銃撃されて死亡しているではないですか、日本のずいぶん野蛮な国ではないですか、という人もいます。

言われてみれば確かにその通りで、世界でも民主主義の先進国を自任する国でこうした恐ろしいことが起きるのです。

ただ、違うところもあります。安倍さんの場合は、政治問題というより、私怨による犯行ということのようです。

アメリカの場合は多分政治問題に関わる事なのでしょう。しかし犯人が射殺されているのでその辺は解りません。

警察の対応も日米では違うようで、日本では逮捕して犯行の理由を突き止めようとしますが、アメリカでは、射殺することが多いようです。

世界を驚かすようなことが起きたので、つい書いてしまいましたが、本題は日米関係のことです。

日本経済がおかしくなったきっかけは「プラザ合意」(1985年)で日本が円高になってからと、このブログでは書いていますが、宮沢喜一さんが「回顧録」を出されたとき、一番よくわかっているのは宮沢さんだろうと思い、早速「回顧録」の「プラザ合意」で円高が進んだ時期の頁を開いて見ました。

しかし、書いてあったのは「あの時は毎日のように大幅に円高が進んで大変困りました」といったことだけだったので、「え!それだけ」と落胆したのを覚えています。

昨日の朝日新聞に、「宮沢喜一・日録(戦後政治の軌跡)」でちょうど「プラザ合意」の所になっていたので読んでみました。

記事の冒頭に「竹下さん、あなた、自分が何をやってきたか解っているのですか」という宮沢さんの言葉がありました。プラザ合意から帰国早々の竹下登蔵相を、居並ぶ政府与党要人の前で面罵したのだそうです。

回顧録では「困りました」だけでさらっと書かれた言葉の背後に、あの時起きていたことが「日録メモ」にはつぶさに書いてあったようです。

大蔵省出身で当時経済・財政には最も通暁している人として知られ、自民党総務会長だった宮沢さんは、円高の恐ろしさを十分に先見していたのでしょう。

それからのアメリかのベーカー財務長官との交渉の過程も「日録メモ」には詳しく書いてあったようです。

「プラザ合意」の翌年の7月には、中曽根内閣の蔵相に就任、その翌年には竹下内閣の副総理兼蔵相として、日本に円高を強いたアメリカのベーカー財務長官との共同声明で円高阻止を狙う努力を続けたようです。

一時は話に乗る気配もあったベーカー財務長官も、もともとアメリカの対日貿易赤字削減の奥の手の円高要請ですから言を左右にしたようで、宮沢さんの職をかけるという意気込みも結果的には成功しなかったようです。

結局、プラザ合意後1年ほどはアメリカの貿易赤字は減少しましたが、赤字体質是正は役に立っていないのが現実です。一方日本はその後30年も円高に苦しんでいます。

もともとアメリカ経済そのものが生産より消費が多い体質ですから、それが治らない限り黒字国にはなりません。

日本に対して円高政策を取り、その後中国にも人民元切り上げを要請しましたが、習近平さんに断られ、今度は関税の引き上げで、習近平さんとトランプさんの泥仕合になりましたが、アメリカは中国に工場を作り、中国はアメリカに製品を輸出するという関係が出来ていますから、ともに返り血を浴びるような結果で、お互いに巧くいかないのは当然です。

アメリかも自己主張の強い良い国ですし、中国もその点では負けていませお互いに損をしながら意地を張り続けているようです。

この辺りは、アメリカが民主党であろうと共和党であろうとあまり変わりはないようです。

日本は現状アメリカについていこうというのが自民党政権の態度ですが、それで日本にとっていいことはあまり無いようです。

日本はもっと自分について確り考え、にほん自身の存在意義を明確にして、米中両国に、喧嘩するより仲良くした方がお互いに上手くいきますよと説得する役割を果たした方が余程世界のためになりそうな気がします。

そんな難しい事が出来るのは、世界広しと言えども日本ぐらいではないでしょうか。