tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2021/9月家計調査:家計は緊縮

2021年11月05日 20時00分31秒 | 経済
新型コロナの新規感染者数のピークは8月中旬という所で下旬にかけて減り始めていました。

そのままここまで下がるとは、 多くの 専門家も予想外と言われるようですが、この新規感染者の減少傾向がはっきりしたのが9月ということになります。

ところでコロナの影響が顕著な、このブログで追跡している個人消費の動きはどうかですが。2人以上の全所帯で見ますと、前年同月(政府がGoToのキャンペーンを張っていました)比では1.9%の低下ですが、前月比では5.0%の上昇(季節調整値:何れも実質値)という事です。

去年の夏はGoToキャンペーンで政府も根拠のない楽観状態だったのですが、今年は第5波の感染急拡大で消費低迷、ただし9月に入って新規感染者が減少傾向になったことで少し元気を取り戻したかという感じです。

季節調整済み消費水準指数で言いすと、それでも去年9月が102.1,今年9月が100.1で去年の9月の水準に追いついていません。

去年は春が最初の緊急事態宣言で、消費は落ち込み、秋はGoToで上昇、今年は、春はコロナ慣れで回復かと思われましたが、その後の感染第5波で落ち込み、9月から回復に向かうか(10月からなまだ解りませんが)というところにさしかかったかなという感じではないでしょうか。

例月追っている勤労者所帯の平均消費性向も、あまり状況は良くありません。昨年9月は79.8%でしたが、今年の9月は75.9%で、3.9ポイントも下げています。

可処分所得の方は対前年同月比で2.4%増えているのですが、消費支出の方は2.8%減っている結果です。

この辺りはコロナ禍のせいか、それとも勤労者所帯では、将来不安が強く消費抑制、貯蓄志向が染みついているのかまだまだ判断の出来ない所です。

此の先、コロナの心配がこのまま小さくなっていくのか、それとも第6波が来るのか、どの程度のものになるのか、誰にも解らないようですが、10月以降の平均消費性向の動きで、その辺りも少しずつ見えてくるのかもしれません。

岸田新政権がどんな経済政策を提案してくれるのか、国民が将来に安心感を持てるような画期的な政策構想が出て来るのか、それとも赤字国債を原資にしたバラマキのような事の継続か、本格的な日本経済やり直しの構想を期待したいところですが、まださっぱりわかりません。

ひとつ言えることは、平均消費性向の低迷が続くような状態である限り、日本経済の本格的な回復はないという事ではないでしょうか。