tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ガソリン高に補助金、それでどうなる?

2021年11月17日 15時07分45秒 | 経済
ガソリン高いですね。160円を超えてビックリしていましたが、170円台になりそうな気配もあります。

1970年代に2度にわたって起きた石油ショックを体験している人なら「慌てない方が良いよ」というかもしれませんが、今の現役のバリバリの方々は、やっぱりこれは大変だと慌て始めているのかもしれません。

そんなことからでしょうか、経済産業省が(経済産業大臣かもしれませんが)「元売りに補助金を出して、ガソリンの価格を抑えよう」と考えたようです。

今の政府は(今の政治家は?)バラマキの人気取りがお好きなのかもしれませんが、政治というのはそんな近視眼的な事では困るので、こういう場合には「如何なる政策が日本経済にとって最も適切か」を十分議論して、誤りないことをやってほしいと思う所です。

かつての石油危機の時もそうでしたが、原油などの輸入に頼るものが値上がりして、日本国内でも関連する商品・サービスが値上がりするといことの意味をキチンと理解すれば、無駄な政策、誤った政策で、日本経済を混乱させることはないはずです。

先ず、輸入原材料などが値上がりするということの意味ですが、それは、価格変動によって、日本のGDPが輸出国に流出するという事です。
言い換えれば、家格が上がった分だけ日本経済が損をするという事ですから、日本の国内で、それを取り戻す方法はありません。

甘んじて損を受け入れるしかないのです。そしてその損は日本国民がそれぞれに負担するのが最も合理的なのです。
そして「それぞれに負担する」というのは、値上がりした原材料を使っている程度に従って、負担するのが最も合理的なのです。

それのやり方は単純で、仕入れの値上がりした分を正直に売値に価格転嫁する事なのです。政府はその時に便乗値上げは許さないという基本原則をみんなが守るように見張ることだけが役割です。

それ以外の事をやると、必ず不公平が起きます。今度のように補助金を出しますと、それは税金か国債が原資ですから、車を使っている人は得をして、その分車に乗っていない人も負担することになります。

値上がりが大きい原油は補助金が出て、半導体や製鉄原材料は値上がり幅が小さいから補助金が出ない、となると不公平が起き、もう少し値上がりしてくれればよかったなどということになりそうです。

今は石油が上がっていますが、石油危機の経験からすれば、そのうち下がるでしょう。
その時はどうするのでしょうか、多分そのままでしょうから、補助金の貰い得でしょうか。

こういう政策は、「神の見えざる手」の正反対の「政府の見える手」で、自由経済の原則から言えば、価格機構という「神のみえざる手」よりも巧く出来るという権力への過信、あるいは、政治的配慮という些かよこしまな心によるもので、経済社会の無用な混乱のもとでしかないのです。

繰り返しますが、政府は、経済界に、便乗値上げをせず、原材料の価格上昇はきちんと価格転嫁してくださいと言って、みんながそれを守るようにするのが最もコストのかからない、最も合理的は方法だということを心得てほしいものです。 

参考:日本は第1次石油危機の時は慌てふためいて大失敗をし、第2次石油危機の時は、政府も民間も確り落ち着いて行動し、経済は順調、「ジャパンアズなナンバーワン」と言われるほどになりました。