tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2020年4-6月期GDP速報を見る

2020年08月17日 22時48分30秒 | 経済
実質GDP前年同期比1割縮小
 今朝、総務省から4-6月期のGEP統計速報が発表になりました。
 マスコミ報道はいつも通り前期比の落ち込みの年率を見出しに掲げ「マイナス27.8%」という数字が躍りますが、昨年の4-6月期に比べて(1年前に比べて)どのくらい落ち込んだかという数字はマイナス9.9%で、ほぼ1割の減少という事です。

いずれにしても、戦後国民所得統計を取り始めてからこんな落ち込みは初めてです。第一次オイルショックの時でもゼロ%成長でした。
さすが、新型コロナの影響はすごいですが、生活の現実を見ると4月、5月は緊急事態宣言で、殆ど外に出る人はいなかったので、その2か月の落ち込みが大きかったと思われます。

 先日、6月の家計調査でもご報告しましたが、 6月になって消費の落ち込みもかなり小さくなりました。
 これは企業活動の方にも影響は出ていますが、GDP統計で重要な民間企業設備はもう少し長期の企業の経営計画の中で決まるのでしょう。
新型コロナの第2波がかなり深刻化して、社会経済活動の順調な回復が危なくなってきていることもあり、今後が些か心配です

 といった所で、4-6月四半期GDPの主要構成項目の対前年同期比を見ておきたいと思います。(数字はすべて実質、物価変動は小さいので名目も殆ど同じ動き)
  GDP-9.9% 国内需要-6.9% 
  民間需要-9.6% 公的需要+1.3%
  民間最終消費支出-10.9% 家計最終消費支出-11.6% 民間設備投資-4.3%
  輸出等-23.3%(訪日外国人の消費も含む) 輸入等-6.2%

 数字が示しますように、国内需要はマイナス6.9%ですが、訪日外国人はぱったり途絶えたこともあり輸出の大きなマイナスが響いてGDP全体では、前年同期比9.9%のマイナスという事です。

 国内需要では企業の消費も含めた民間最終消費支出、家計最終消費支出ともに2桁のマイナス。特に家計は11.6%の減少でGDP落ち込みの最大要因です。

 政府はこの落ち込みを防ぐために公的支出を増やしましたが、焼け石に水、そこで民間経済活動の活性化を狙ってGoToの推進し、非常事態宣言もしませんが、その副作用、コロナ感染増加が出ています。

 人が動けば消費は増えますが、しかし逆にそれが新型コロナの第2波を深刻にし、それが改めて地方自治体の自粛要請、民間の自主規制による「消費支出縮小」の第二波を招くといった傾向を心配する意見もあります。

 結局、現状では、社会経済活動を活発にすればコロナ感染者をはじめとした人的被害が大きくなるというジレンマの間で、何処の国も迷い、日本も同様に迷いに迷っているという事のようです。

 7-9月の数字が発表になるころ、新型コロナの第二波がどんなことになっているか、望ましいのは「経済活動は順調に復活」「コロナ第二波は次第に鎮静」という事ですが、
人間の意向など忖度してくれない新型コロナウィルスの事ですから先行きは誰にも解らないのでしょう。

 最終的には、やはり、 検査の徹底から始めて、ワクチン、特効薬の開発の可能性が経済活動の帰趨を決めてくれる以外にはないのでしょうか。
 そこに徹底した人間と資本の投入することが、矢張りカギになるのでしょう。