tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ワーケーション:けじめ無き生活のすすめ?

2020年08月05日 16時58分59秒 | 労働
ワーケーション:けじめ無き生活のすすめ?
 ワーケーションというコトバが出来たようで、びっくりを通りこして呆れています。
 アメリカで生まれた言葉などという説明もありますが、大体この種の「和製カタカナ英語」はアメリカ人やイギリス人に聞いても「知らない」というのが普通ですので、GoToトラベルの続きだと思っています。

 和製カタカナの英語の話は別として、ワークとバケーションをくっつければ何かいいことが出来るなどと誰が考えたのか知りませんが、菅官房長官は、「これが大変いいことだ」と力説する始末で、本当に仕事をキッチリしてる人の言う事かと訝ってしまうほどです。

 休暇というのは、もともと、仕事を一生懸命やって、それだけでは人生としては偏りが酷い状態になってしまい、肉体的にも精神的にも、バランスのとれた健全なものにならないので、休暇という時間を確保して、仕事以外のこと(休息も含め)をすることによって、人間として精神的にも、肉体的にもバランスの取れた人生を過ごせるようにしようというものでしょう。

 仕事が複雑で高度なものになるほど精神的なストレスも大きくなり、気分転換レクリエーションといったものが必要になります。

 昔は藪入りと正月だけが休みでしたが、文明開化とともに週休制が導入され、それも週休2日制になり、それでもメンタルヘルス問題、「うつ」といった精神的変調が起きやすいような世の中です。

 日本人の夏休みはせいぜいい1週間か10日で短いですが、1~2か月という国もあるようで、そういう場合には、仕事と、仕事以外をキッチリ分けるのが精神的に健全さを保つために重要だと言われていることは、学問的にも、経験的にも、誰もが良く解っているはずです。

 ここまで、世の中が進化しているのに、何を間違えたか、休暇の中でも仕事をしようというのでしょうか「ワーケーションが素晴らしい」などという事を、政府の中枢が言い出すという事は、如何にパソコンやスマホが発達したからといって、国民の人間的な生活の健全な在り方を考える立場にある政府としては、一体何を考えているのか理解に苦しむところです。

 大体、「働き方改革」もそうですが、「働かせ方改革」なら別として、「働き方」などというものはそれぞれの人がそれぞれに「自分で」考えるべきものでしょう。

 労働基準法で、「最低基準」を決めることは政府の役割かも知れませんが、人間が仕事をするのに、「人間よりも仕事(職務)が基準であるべき」などという所からおかしくなっているのですが、いまの政府は本当にやるべきことはおざなりで、余計なことにばかり口を出すのが仕事と思っているようです。

 幸い、日本の場合国民は賢明ですから、いま「ワーケーション」などで話題になっているのは、「東京に住まなくても、環境の良いリゾート地に住んでもコミュニケーション機器・技術の発達で仕事がいくらでもできますよ、そんな生活は如何ですか?」などというキャンペーンに使っているようです。

 和声カタカナ英語は、勝手に解釈できますから、そんな解釈で、うまい具合に政府発言をいなして、巧く対応していますから、その辺は民間に任せて、この先、余計なガイドラインなどを暇に任せて作らないようにお願いしたいものです。