tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マネー資本主義とMMTは相性が良い?

2020年08月06日 16時51分24秒 | 経済

MMT(現代貨幣理論)について種々考えてみましょう(4)
 アメリカ生まれのMMTは、今のアメリカを見ると多分すんなりと理解が行くのではないかと思います。

 今のアメリカはどんな状態でしょうか。トランプさんの再選が危ないとみられていますように、アメリカの景気は、トランプさんの目指すような順調な回復にはなっていないようです。
 いわゆるラストベルトの活性化もなかなかで、シェールガスは原油価格の低迷です。対中政策では中国進出のアメリカ企業は返り血を浴び、昨年も経常収支の赤字は拡大基調、そこに新型コロナで、感染者・死者を出しても経済活動の活発化を狙う方針の様ですが、経済全体としてはマイナス成長は避けられないようです。

確かに、GAFAなど特定のネット関連の新産業が増益を記録して目立ちます。それが牽引しているのでしょうか。NYダウやナスダックは史上最高を更新しています。しかし、よく考えてみれば、どうなのでしょうか。

経済は当面マイナス成長、コロナは簡単に収まりそうにない、そしてアメリカ経済の痼疾とも言いうべき経常赤字は絶対額でも対GNP比でも増大傾向なのに、なんで株価だけが、史上最高などと独り歩きするのかといった、いわば不可思議な現象が起きているという事ではないでしょうか。

 実は同様な目でよく見ると、アメリカよりは、未だ、多少健全に近いですが、日本でも同じようなことが起きているではないかという事にもなるようです。
 主要企業の決算が軒並み大幅減益で、旅行関連や飲食店などは多くが瀕死だとまでいわれ、政府はその対応に巨大な補正予算を赤字国債で組んでGoToで支援したりそています。
それもあって、コロナの第二波も感染者の絶対数では第一波を上回っています。一方、ワクチンといえば、外国の開発の分け前の確保に汲々としているような状態なのに、日経平均は結構な水準にあるのです。

 常識的にみれば、「どう考えてもおかしい」といった状態が現実に起きていると言う状況をどう見るかですが、見方は大きく2つあるようです。

 一つは、今の経済不振は新型コロナのせいなのだから、これが終息すれば経済は急回復するはずだ、式市場は先見性があるのだから、その時の状況を予見し、その結果が今の株高である、という見方でしょう。

 もう一つは、経済状態が良くなくても、株というのは買う人が多ければ上がるのが当たり前で、今は財政、金融とも、いくらでも金を出すといった状態だから、人は動かず、物も売れず、実物経済は不振を極めていても、ジャブジャブのカネは、PCやスマホで簡単に金儲けができるマネーマーケットに一斉に以向かっている、だから株が上がっても少しも不思議はない、という見方でしょう。

 更に付け加えますと、政府の国債発行は10兆円の予備費を組むほどのものですし、日銀は、円高を何としてでも避けようと、徹底して金融緩和を続けると言うのが慣わしになっていますし、1人10万円の給付金は計14兆円ぐらい支払われて、振り込まれたままになっている人も多いだろうし、おりしも政府は貯蓄から投資、NISAやiDeCoと言っているしといった状況を考えると、NY市場を見ながら、押し目を狙うという投資家も少なくはないでしょう。

 見方によっては、「なんだ、物価は上がらないけれど、代わりに株が上がっているんじゃないの」という状況には、MMTが最高の応援歌になっているのではないでしょうか。