tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

1970年-2018年、消費者物価中分類の費目別上昇倍率一覧

2019年09月21日 23時43分04秒 | 経済
 前回のブログでトップ10品目とラスト10品目をご紹介した原表(全品目)を載せておきます。
総務省発表の消費者物価中分類の長期の推移表から、1970年と2018年の数字を採り、その間(48年間)の上昇率を「倍率表示」し、倍率の高い順に並べ替えたものです。(#DIV/0!の表示項目は1971年以降に新設さたものです)
 品目      倍率
上下水道料 #DIV/0!
補習教育 #DIV/0!
教育関係費 #DIV/0!
教養娯楽関係費 #DIV/0!
情報通信関係費 #DIV/0!
他の諸雑費 9.72
授業料等       8.35
教育       7.34
理美容サービス 6.54
他の光熱       6.22
家事サービス 5.38
書籍・他の印刷物 5.24
設備修繕・維持 5.11
交通       5.00
魚介類       4.81
生鮮魚介(再掲) 4.53
たばこ       4.49
和服       4.32
野菜・海藻 4.27
外食       4.27
教養娯楽サービス 4.20
調理食品       4.19
身の回り用品 4.06
帰属家賃を除く住居 4.05
被服関連サービス 4.04
生鮮野菜(再掲) 4.02
生鮮食品       4.01
衣料       3.85
教科書学習参考教材 3.80
ガス代       3.77
住居       3.76
保健医療サービス 3.68
菓子類       3.66
諸雑費       3.65
履物類       3.65
洋服    3.65
被服及び履物 3.57
家賃       3.48
家事雑貨       3.44
食料       3.42
シャツ・セーター類 3.39
生鮮果物(再掲) 3.34
生鮮食品を除く食料 3.30
光熱・水道 3.2
セーター・下着類 3.26
果物       3.25
下着類       3.25
持家帰属家賃を除く 3.25
総合       3.22
生鮮食品及びエネ
ルギーを除く総合 3.20
生鮮食品を除く総合 3.19
持家の帰属家賃を除
く総合       3.18
持家の帰属家賃及び
生鮮食品を除く総合 3.15
食料(酒類を除く)
及びエネルギーを
除く総合       3.15
穀類       2.95
エネルギー 2.91
肉類       2.86
教養娯楽用品 2.66
他の被服       2.64
保健医療       2.64
教養娯楽       2.57
交通・通信 2.55
酒類       2.31
自動車等関係費 2.18
油脂・調味料 2.14
乳卵類       2.12
医薬品・健康保持用
摂取品       2.04
保健医療用品・器具 1.93
飲料       1.90
電気代       1.84
寝具類       1.64
理美容用品 1.47
家事用消耗品 1.45
室内装備品 1.33
家具・家事用品 1.32
通信     1.18
家庭用耐久財 0.45
教養娯楽用耐久財 0.05

消費者物価の長期推移:上がるもの、上がらないもの

2019年09月21日 23時41分01秒 | 経済
消費者物価の長期推移:上がるもの、上がらないもの
昨日、総務省から8月分の消費者物価の発表がありました
 対前年8月の上昇率を見ますと、総合が0.3%、生鮮食品を除く総合が0.5%、生鮮食品およびエネルギーを除く総合が0.6%で、上昇は緩やか、生鮮食品とエネルギーは物価の引き下げ役に回っています。
 
 8月分の物価安定は結構ですが、これからはまたサウジの問題や、サンマ不漁など不安定な面もありそうです。

 そんなことで今回はあくまでもご参考ということで、消費者物価の中分類の80品目ほどの品目別の長期推移を眺めてみました。

 総務省の発表では2015年基準で、1970年からの推移が一覧表になっていますので、それから2018年に、それぞれの品目の価格が1970年の何倍になっているかを見てみたわけです。
 1970年は第一次オイルショック(1973年)以前ですから1974年の消費者物価の22%の上昇も織り込み済みの上昇率です。
 
俗説では、玉子の値段が最も安定しているなどとよく言われますが、中分類では卵・乳製品は一緒になっていて卵だけでは出てきません。

先ず総合は3.22倍、生鮮食品を除く総合は3.19倍、生鮮食品とエネルギーを除く総合は3.20倍で、長い目で見れば、上がり下がりが均されてくる事が解ります。

次に値上がり高倍率トップ10を見ますと、諸雑費(9.72倍)、授業料等(8.35倍)、教育(7.34倍)、理美容サービス(6.54倍)、その他光熱(6.22倍)、家事サービス(5.38倍)、書籍・他の印刷物(5.24倍)、設備修繕・維持(5.11倍)、交通(5.00倍)、魚介類(4.81倍)、となっています。

 これらを見ますとモノの値段という部分は少なく、人件費が太宗を占めるものがほとんどです(その他光熱では電気・ガスはそれぞれ別掲でありますからその他です)。
つまり自営業などが主体の料金で、端的に言えば人手によるサービスの価格、そうした業種での人件費の上昇を反映しているものです。

 では値上げ倍率の低い方の10項目はといいますと
飲料(1.90倍)、電気代(1.84倍)、寝具類(1.64倍)、理美容用品(1.47倍)、家事用消耗品(1.45倍)、家具・家事用品(1.33倍)室内装備品(1.32倍)、通信(1.18倍)、家事用耐久財(0.45倍)、教養娯楽用耐久財(0.05倍)ということになっています。

 つまり、全体の構図としては、モノの値段はあまり上がらず、人件費の水準が上がっていく、その分生活が豊かになるという経済成長の構図が、消費者物価の中身にもそのまま反映しているという事なのでしょう。

 モノの価格上昇は生産性向上で抑制され、通信などの場合は技術革新の進展で抑制され、サービス料金の部分は賃金水準とともに上がるのです。

生産性向上が進む部門の価格は上がりません、一方、生産性の上げにくい部門、かつての典型としては理美容、維持修理サービス、今日では福祉介護などのマンツーマンサービスといった所では価格(料金)は上がることになるのが現実なのでしょう。
今、物価が上勝率が小さいのは、賃金上昇が小さいことが最大の要因でしょう。
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 ちなみに、乳卵類は2.12倍で、下から13番目です。
(全体の一覧表は、別項(次回)のブログで掲載します)