tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2019年4~6月期GDP第2次速報:消費需要に変化?

2019年09月10日 11時55分58秒 | 経済
2019年4~6月期GDP第2次速報:消費需要に変化?
 昨日、内閣府から今年の4~6月期のGDP第2次速報値が発表になりました。マスコミの見出しは、第1次速報より実質成長率が低下したことを報じていました。
 数字は、前月比で0.4%から0.3%へ、変率換算で1.8%から1.3%へという事です。

 第1次速報と第2次速報の主な違いは「法人企業統計季報」の発表前と後ということで、これまでは、法人企業の設備投資意欲が強かったので、成長率は上方修正が多かったのですが、今回は国際情勢もあり企業の設備投資が予想より不振だったため下方修正になったようです。

 企業の設備投資は米中貿易摩擦次第でしょうから、この所は読みにくいことが多いでしょう。しかし、いずれにしてもプラス成長ではあります。

 そんなことで、いつものように、対前月の短期の動きではなく、一緒に発表されている対前年同期比という少し長期の動きを見てみました。

昨年の4~6月期から、今年の4~6月期までの5四半期の実質GDPの対前年同期比の推移は、(以下数字はすべて実質ベース)
 1.5% 0.1% 0.3% 1.0% 1.0%
となっていて、今年に入って1.0%という低位ですが安定した伸びになっています。

 ウエイトの大きい項目で見ますと、同じ期間で、 
家計消費は 0.0% 0.5% 0.4% 0.4% 0.8%
企業設備は 6.6% 1.1% 3.9% 2.8% 0.4%
ということで、これまでGDPの伸びを支えていた企業の設備投資が急減、その代わりといってはなんですが、何か、家計消費が伸びてきているように感じられます。

 家計消費はGDPの6割近い大きさで、企業設備は2割弱ですから、家計消費が伸びてくれば、経済成長には大きな力になります。

 この所、家計消費の不振が日本経済の足を引っ張っていたといわれてきましたし、その原因は家計の将来不安(年金論議の中での2000万円問題などはその典型)の故だといわれてきましたが、日本の家計も、そろそろ節約疲れでしょうか。

 消費が伸びれば、また違った経済環境への発展もあり得るので、貯蓄の偏在はあるにしても、民間貯蓄1800兆円がうまく活用できれば、それも結構ではないかという感じもします。

 米中摩擦をはじめとした国際情勢の混乱も出来れば早く収まって、設備投資も回復し、家計も次第に消費を伸ばせば、日本経済も投資と消費のバランスのとれた経済になる可能性が出てきます。
 この四半期の数字がその兆しなら大変うれしいと思うのですが、今後の展開はどうでしょうか。