tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

またまた石油危機? 前回との違いは

2019年09月17日 21時09分41秒 | 国際関係
またまた石油危機? 前回との違いは
 1973年(昭和48年)に起きた石油危機の記憶もだいぶ薄らいできています。
あの時は、99.8%を輸入原油に頼る日本で、工場が止まって生産に支障が起きたら、日々の生活で最も困るのは洗剤とトイレットペーパーがなくなることという風説が生まれて、日本中の店頭から、合成洗剤とトイレットペーパーが消えるというパニック状態になりました。

 先高を見越しての売り惜しみだろうとか、誰かが買い溜めしているといった風説も生まれてマスコミは大賑わいでした。
 結果は、1人が1個買うところを2個買えば、需要が倍になり、生産が間に合わなくなるのは当然ということでした。

 ところで、今回もサウジの石油施設の破壊問題で原油価格が高騰しています。今の日本は原油の備蓄体制もかつてとは違い、さし当たって1年間は問題ないとのことですが、問題の本質は、かつての石油危機より今回の方がよほど重大ではないかということではないでしょうか。

 1973年からの2回の石油危機は、OPECの政策としての原油価格値上げでした。これはあくまでも経済的な問題でした。しかし今回は違います。 今回は石油関連施設の破壊、それもドローン(というより無人機ですね)による爆撃、つまり物理的な破壊行為という「野蛮な」な行為によって起きたとのことです。

 こんな野蛮なことが罷り通れば、人類社会全体がパニックに陥りかねません。
 人間は表に出ず、遠隔制御の無人の兵器で、人類の文明生活に致命的な破壊行為が容易に起きることになりうるのです。
 今回は、イエメンの反政府武装組織フーシが犯行声明を出しましたが、何故か信用されていないようです。

 アメリカもこの犯行声明を信用せず、イランの関与を疑い、ドローンがどこから飛んできたか調べるといっています。
 もちろん、この究明の努力は大切なことですが、アメリカが出す結論を信用しないといいう意見が出たらどうするのでしょうか。

 アメリカも、イエメン、イランも、世界に200ほどある国の1つです。あくまでも1つの国としては対等です。アメリカが自分が正しいと言っても、覇権国であっても、「アメリカ・ファースト」を標榜する1つの国でしかありません。世界で起きる問題を公式に判断する立場にはないでしょう。

 今の地球人類社会の本来の姿から言えば、こうした問題につて、まず率先して取り組むべきは国連の「安全保障理事会」でしょう。
 その名の通り、世界の安全を保障するべきこの組織に対して、アメリカは一顧だにせず、自分だけで片付けようとしているようです。
 他の4か国からも安全保障理事会で審議すべきという積極的な意見はないようです。

 安保理を構成する5か国は、人類世界に対して持っている自分たちの責任と権限を最大限に尊重し、自国の利害に先んじて、人類世界の安全保障に真剣に協力すべきではないでしょうか。