tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ブエノスアイレスG20とアメリカ

2018年07月23日 22時58分24秒 | 国際経済
ブエノスアイレスG20とアメリカ
 ブエノスアイレスG20 は 、スムーズに共同声明を発表し、昨日2日間の会議を終えましたが、これで、この所のアメリカが仕掛ける貿易戦争がどうなるというようなものではなかったようです。

 共同声明では最初の部分で、「世界経済は引き続き強固で、失業率も低いが、短・中期の下方リスクは増大している」と淡々と書いています。
 そしてその理由には、解りにくい表現で、金融や貿易、地政学上の問題などで国際的な不均衡が増大し、特に複数の先進国で「構造的に弱い成長」が含まれるから、十分監視していかなければならないといっています。
 
 また、昨年7月のハンブルグ・サミットの貿易に関する首脳の合意を再確認し、リスクを緩和し信任を高めるための対話や行動の必要性を認識、経済に対する貿易の貢献の強化に取り組む、といっていますが、従前のように、単刀直入に自由貿易の推進といわず何か持って回った表現なのが気になります。

 ムニューシンさんは、アメリカの従来の姿勢である「強いドル」を肯定したようですが、トランプさんは相変わらずドル安をお好みのようで、勝手にツイートし、影響で円は一時、110円台になって、日経平均は300円超の下落をしたりというのが現実で、覇権国首脳の口先介入は「為替操作」ではないのかなんて言われたりしているようです。

 ブルームバーグは、「ムニューシンさんの発言で貿易戦争のリスク懸念が後退」と成果を主張していますが、まだまだ、どこで何時飛び出すか解らないトランプさんにツイートを懸念する人の方が多いのではないでしょうか。

 このブログでも一貫して指摘していますように、トランプさんは選挙公約の時から貿易赤字の削減を指向しており、そのためには為替戦争も辞さず、アメリカにカネが流入することならなんでも歓迎というお気持ちのようです。

 そのためにアメリカの産業の国際競争力を強くしてといった迂遠な発想はお持ちでないようで、輸入品に関税をかけるか、手っ取り早くドル安にするかといった方法論が先行するようです。

 それに対して、機転の利く中国が先回りして人民元安に動いたことは、またトランプさんを刺激したようです。
 矢張りトランプ政策というのは、経済の本質に関わるような行動を主体に置くのではなく、将来どうなるかは別として、ごく短期的に辻褄を合わせる「近視眼的」政策のために覇権国の力を利用するといった思考回路が中心のようです。

 今回のG20にもどこかその影が落ちていて、共同声明も「そのものズバリ」の表現が消えているのでしょうか。
 そんなことを繰り返していても、長い目で見れば、アメリカ自身が弱体化し損するのでしょうが、その辺り、トランプさんの頭の中ではどんな回路がどう繋がっているのかどうにも解りません。

 世界が迷惑し、特に日本は関税と円高のダブルパンチを受けそうな困った事態が進んでいきそうです。
 安倍さんは3選されたら、何はともあれ憲法改正で、経済の行方にも財政赤字の問題にも、あまり関心をお持ちでないようで、心配です。