tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

フェイスブックの時価総額13兆円減

2018年07月28日 12時31分58秒 | 経営
フェイスブックの時価総額13兆円減
 昨日、今日の経済ニュースの中では、フェイスブックの時価総額が13兆円も減少になったというのは極めて大きいニュースという事でしょう。

 株価が19%下落したのですから、時価総額も19%下落する事になるのは当然ですが、株価下落というよりも、時価総額の減少といったほうが、確かに、昨日まであった巨額のカネが、一朝にして無くなってしまったという感じが強く出ます。

 企業を評価する指標として、時価総額という指標が言われるようになってもうかなりになりますが、伝統的な企業評価の指標としては、時価総額で企業の価値を測るという方式は、かなり新しいものという感じです。

 時価総額が企業の価値を示す指標としてもてはやされるようになったことにはそれなりの理由があるように思います。
 企業の役割が、財やサービスの生産活動をし、実体経済を豊かにして(GDPを増やして)社会に貢献するという事が主要なものだという認識だった時代には、売上高や付加価値、生産性や主要な利益率などが企業の実力を評価する指標として使われるのが普通でした。

 しかし、財やサービスを生産するのではなくても、カネでカネを儲けるというマネーゲームが経済活動の大きな部分を占めるようになると、次第に インカムゲインとキャピタルゲインを区別しなくなり、何で稼いでも懐に入れば同じカネ、という感覚になって、「現在現金になるものが最も大事」といった風潮が強まり。それなら「時価総額が最も適切」といった感じになったのでしょう。

 しかし、株価というのは人気や思惑で動きます。本当にその企業が収益性や発展性があり、それが評価されているという部分がベースで、それに人気や思惑の部分がプラスになったりマイナスになったりして形成されているのです。
良い会社だけど株価は安いですねという場合も、中身は良く解りませんが株は高いですねという場合もあります。

 そういう意味では時価総額というのはいわば実力部分とバブル部分を総合計したものでしょう。バブルの部分は何時消えるか、あるいはマイナスに変化するか解りません。それでもマネーゲーマーにはその乱高下がビジネスチャンスなのです。

 1991年日本のバブルが崩壊した時、「あんなにおカネがあったのに、あのおカネは何処へ行ったんだ」などといった議論がありましたが、「評価」というものにはそういう部分が必ずあります。それでも残るのは実体経済(GDP)、経営実態(生産性)で、これが本当の経済や企業の価値なのです。

 実体経済学とマネー経済学が混在する世の中ですが、経済分析や、経営分析をするためには、この両者の影響を的確に見分けていくことが大事なのかもしれません。