tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ポピュリズムの本当の恐ろしさ

2017年01月17日 14時25分12秒 | 国際関係
ポピュリズムの本当の恐ろしさ
最近の政治家たちは、往々ポピュリストと評されています。

 He is popular と言えば、「彼ならみんな知っているよ」とか「彼は人気者だ」という事でしょう。「彼は人望がある」とか「彼は評価されている」というと少し褒め過ぎという所でしょうか。

 世の政治家も、民主主義の社会では自分の地位のベースは選挙ですから、どうしてもポピュリストになる、あるいはポピュリストを装うという事になるのでしょう。
 そのためには、良い評判を作るタネになるようなことにはこまめに反応し、出来るだけマスコミに載り、握手をし、顔を売ることが大事になってきます。

 世の中が、平穏無事であれば、こうしたポピュリズムの盛行も、あまり問題なく見過ごされていくのかもしれません。みんなが賛同し、納得して、仲良く平和に過ごせれば社会は安定でしょう。

 しかし、最近の世の中は、それほど穏やかではありません。格差社会化が進んで、「少数の超豊かな人と、多くの生活に不満を持つ人」が生じたりするような社会では、政治家も不満を持つ多数の人の間でポピュラーでなければなりません。

 今回のアメリカの大統領選挙の結果は、矢張りポピュリズムが産んだものでしょう。トランプさん自身は大金持ちです、しかしトランプさんは「アメリカは今の国際情勢の中で損を強いられている 被害者だ」という立場を強調して当選しました。

 「貿易で経済的損害を被り、不法移民で雇用を奪われ、アメリカは被害者だ、それを阻止して雇用と豊かさを生み出し、偉大なアメリカを再生する」という意見に多くの有権者が反応したのでしょう。

 ポピュリズムの問題点は、「人気が出て票が取れれば」という事で済んでしまうところにありそうです。政治で本当に大事な事は、「本当に結果が出せるのか」なのですが、ポピュリズムでは通常その問題までは問われずに選挙結果が出てしまいます。

 民主主義のレベルは「民衆のレベルが決定する」というのは自明ですが、ポピュリズムの流行は「多くの人がより安易に意思決定をする風潮」を生むように感じられます。

 その上で更に恐ろしいのは、国際的にも、国内的にも、顕著になっている「格差社会化」に象徴されるような問題です。
 しかも、加害者は加害者意識がなく、ともすれば、加害者も含めて全体が皆、被害者意識を持ってしまうといった奇妙な状況が見られることです。

 アメリカも、ロシアも、中国もみんな被害者意識を持っているようです。被害者意識で人心をを収攬して国論を統一し、国民の結束を図ろうというのでしょうか。
 ポピュリズムと被害者意識、この2つが複合すると、人類社会は異常なことになりかねないのではないかと心配です。