今年の1月、アメリカでは、盛大な大統領選挙戦の結果、トランプさんが大統領になりました。
トランプさんはアメリカの過半数の人たちの支持を得て大統領になったのですが、アメリカの過半数の人々は、今でも、トランプさんが立派な大統領だと思っているのでしょうか。
現在のアメリカは覇権国、基軸通貨国で、「国連」という重要な組織をわざわざスイスからニューヨークに持って来た国です。当然、世界のリーダーという意識を持っているはずです。なのに、トランプさんが選ばれてから、アメリカは、おかしくなってしまったようです。
「ガバナンス」という言葉があります。リーダーが、自分の責任ある組織を、安定した組織としてまとめているかどうかを問う言葉です。
この「ガバナンス」という視点から見ますと、トランプさんがアメリカ大統領に就任してから、世界も、アメリカ国内も、「ガバナンス」が千切れて飛んで行ってしまったようです。
まず世界の方から見ますと、ウクライナとパレスチナの問題は「3日で片付ける」といったトランプさんの勢いでしたが、片付かないばかりか、益々酷くなって来ているようです。
トランプさんは、ロシアは言うことを聞かないからと、仲裁の意欲を失い、もう少し戦争をさせておいた方が良いという態度だとのニュースもあります。
パレスチナの問題では、トランプさんはイスラエルの後ろ盾と見られていますが、ネタニヤフさんは狂気のようにガザを攻め、今度は突如、イランを大規模空爆するという挙に出ました。
トランプさんは、アメリカは関係していないというだけで、問題解決の意思は特にないようです。世界の多くの人たちは、問題解決へのアメリカのコミットメントを期待しているのではないでしょうか。
結局は、トランプさんは国際紛争の早期解決を実行するといって選ばれたのですが、アメリカには国際社会のガバナンス能力は無いことを世界に示したという結果になってしまっています。
では、国内問題ではどうでしょうか。今、アメリカは内乱状態のようです。
秦の始皇帝の焚書坑儒ではありませんが、ハーバード大を筆頭に大学との対立が異常な状態に発展、行政と司法の対立も深刻化、不法移民をめぐるカリフォルニア州との対立では州兵や海兵隊を派遣するという内戦のような様相です。
幸い、軍隊の方が良識があり、「拘束などは一人もしていない」と記者会見をしていますが、どう見ても「やりすぎ」のトランプさんです。
さらに、日鉄とUSスチールの問題では、投資は大歓迎、しかし経営権は大統領がすべてに拒否権を持つという、ガバナンスならぬ大統領の独裁権を民間企業の中に持ち込むという異常行動をとっています。
関税問題はとうに世界中を混乱させていますが、こうした困った大統領を大多数のアメリカ国民が支持している(いた?)のです。
アメリカは、今や、国民も、大統領もガバナンス意識の欠落した国に堕したように見えます。世界にとっても、不幸なことではないでしょうか。