tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費性向の引き上げのために

2017年01月26日 16時56分28秒 | 経済
消費性向の引き上げのために
 世界の国々の中でも、日本ほど健全な経済を維持している国はそうありません。しかも日本は、国土は狭く、資源をほとんど持たない国です。
 日本がこんな良い国になれた理由は何かと考えますと、やはり「日本人が真面目に働いたから」という事ではないでしょうか。

 戦後の高度成長で世界を驚かせ、世界が震撼した二回のオイルショックの後は、いち早く経済体制を建て直し、ジャパンアズナンバーワンと言われ、あまりパフォーマンスが良すぎて主要国から妬まれた結果のプラザ合意による円高で、「失われた20年」を強いられましたが、2014年からの為替レート正常化で、今またトランプ大統領から「アメリカに損害を与えている」と言われるほどの強い経済状態を回復してきました。

 海外から見ればそうした日本ですが、日本人特有の「キリギリスでなく蟻であれ」という勤倹貯蓄精神、「朝三暮四の故事」から学ぶ先憂後楽の思想、などが、時に強すぎ、(もちろんカネが無くても借りて使ってしまうよりずっといいのですが)それが災いして逆に経済成長の足かせになるほどの堅実さを実践してしまっているようです。

 今、日本経済は、政府・日銀が思っているような順調は成長路線になかなか行き着くことが出来ません。その最大の原因は、所得が増えても、消費は伸びない消費不振というところにあるという事はほとんど一致した意見でしょう。
 これは経済指標で言えば、「消費性向の低下」という事になります。

 このブログでも繰り返し取り上げています、この消費性向の低下問題は、こうした日本人の良い特性が、偶々マイナスに出てしまったことに原因があるようです。
 という事は、これは決して日本国民自体の考え方が間違っているのではなく、その考え方は大変結構なのですが、それが適切な成果をもたらすことが出来るような環境条件が準備されていないという事から来ているのでしょう。

 環境条件が整備されない理由はいろいろあるでしょう。勿論、国内だけでなく、国際環境条件が良くないこともあるでしょう。しかし、一国の国民が、良い特性を持ちながら、それがうまく発揮できないという責任は、国民にあるのではなく、国の政策にあると考えるのが合理的でしょう。

 安倍政権の方策は「官製春闘4年」と言われるように、「賃上げ奨励」ぐらいが主要な対策で、ほとんどは国民が消費を「したくなくなる」、当面「カネは使わない方がよさそうだ」と考えさせるようなものになっているようです。

 国際関係もますます厳しくなりそうです。この問題は、政府として、本格的に取り組む必要がるのでしょう。
 今の状態では、いくら政府が高めの経済見通しを立てても、日銀が物価を2%上げようとしてもダメでしょう。

 何とかならないものか、皆さんと一緒に考えてみたいと思うのですが・・・・・。