tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費性向を上げ内需拡大で成長へ

2015年10月30日 09時56分33秒 | 経済
消費性向を上げ内需拡大で成長へ
 今後の日本経済の成長の基本は内需拡大で、その最大の柱は消費需要の拡大と述べてきました。困ったことに前回、前々回述べてきましたように「平均消費性向」がかつての日本経済が元気だった時代に比し大きく落ちていて、なかなか回復しないのです。

 景気は「気」ですから、国民の気分を変えることを考える必要があります。もちろん、国民の気分は口先だけでは変わりません、国民の理解しやすい現状分析、共感してやる気の出るような将来展望を示して現状への安心感、将来への期待感を国民に確信してもらう必要があるでしょう。

 この辺りは現政権は大変下手のようです。実際には大きなこともやってきました。誰しもわかっていることは40円幅の円安を実現、日本経済を正常な状態に戻したことです。直接には日銀がやったのですが、政府と共同事業でしょう。

  プラザ合意による円高で、経済敗戦、失われた20年を経験した日本ですが、$1=¥120で完全復活です。日本はもうデフレではありません。これからは成長路線です。
 この辺の認識が政府は良く解っていないようです。まだ「デフレ脱出」などと言っています。

 それなのに、三本の矢の2本目・3本目は期待外れ、新3本の矢も、単なる期待値のように受け取られています。外遊も大事ですが、内政、内需中心の経済成長にもっともっと具体的で信頼し安心できる政策を示してほしいと思っている国民は多いはずです。

 今好調なのは新規学卒の 就職状況ですが、それも選考開始期日問題で学生にも、学校にも、企業にも迷惑をかけるばかり、企業では初任給だけ上がって、またぞろ中堅層の給与の中だるみ現象か、それとも中堅社員の非正規化かといった不安があります。消費性向の上昇には雇用の安定が重要ということも解っています。年金制度への不信で、高齢者には「下流老人」などという新語も生まれています。

 国民が安心して楽しく消費をするには、政府の経済政策への信頼度が低すぎます。再来年には消費増税が待っています。軽減税率の問題は全く要領を得ません。しびれを切らして公明党が、 高所得者の税負担を言い出すのは自然であり、合理的でしょう。

 このままでは日本経済社会の格差化はさらに進み、大多数の国民は 貯蓄志向を強め、消費は伸びず、内需拡大による経済成長は画餅に終わるように思えてなりません。GDP600兆円目標も空疎な響きです。

 為替レートの正常化で、折角安定成長の可能性が大きくなってきた日本経済です。放置してもある程度の前進は期待できるでしょうが、国民のためにはもっと具体的で納得のいく、的確な政策が必要なようです。国会は休んでいていいのでしょうか。
 さらに検討を続けてみたいと思います。