tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀短観:短期慎重、中期強気?

2015年10月02日 12時18分55秒 | 経営
日銀短観:短期慎重、中期強気?
 昨日2015年9月調査の日本銀行「短期経済観測」、通称日銀短観が発表になりました。四半期ごとに、企業が企業環境についてどう考えているか、どう行動するかを調査してくれるので、大変参考になる良い調査でしょう。

 今回の調査では、このところ前向き思考を続けていた日本企業に、幾分か慎重の気配が見えたというのが総括のようです。
 原因はもちろん中国経済の先行き不安が大きいのでしょう。もちろん中国の先行き不安がどの程度のものになるのか、わかりません。中国も必死に経済成長維持の努力をするでしょう。外国のことですから予想はしつつ見守るしかありません。

 現実に中国で事業を展開している日本企業は多いのですから、そうした企業の現地での判断が、回答の中に組み込まれているという点でも回答は貴重なのかもしれません。

 
 報じられましたように、製造業では、大企業の業況DIは12で前回の15から下がりましたが、その中身は、「良い」19%「さほど良くない」74%「悪い」7%で、「さほど良くない」を中立として、「良い」から「悪い」を引いて12ということです。

 悪ければ悪いというでしょうから、「さほど良くない」というのは「いくらか良い」というのも入るかもしれませんから、「わるい」が7%というのはかなり良い状態でしょう。
 「先行き」については、「良い」15%「さほど良くない」80%「悪い」5%ですから、日本の大企業はあまり悲観はしていないようです。
 中堅、中小はいつものように、大企業よりは悲観的ですが、やはりマイナスの影響を受けやすい立場を反映しているのでしょう。

 報道されていますように、非製造業では大企業のDIは25で前回の23より増加、「良い」29%「さほど良くない」67%「悪い」4%ですから、相変わらず堅調です。外人観光客の爆買いもあるのでしょうか。先行きのDIは19と下がっています。

 そのほかの項目を見ていって気づくのは売上高経常利益率で、2015年度は、大企業、中堅企業、中小企業とも前年度を上回ると答えていること、ソフトウエアを含む設備投資は製造業・非製造業ともに、中小企業を除いて前年度比で増えていること、人手不足感は全てでDIがマイナス10~20と強いことなどです。

 当面の日本企業は、中国をはじめ世界経済の混乱を心配しつつも、基本的には強気の姿勢を保っているように感じられるというのが、今回の短観から受ける感じです そのベースには、回復した日本経済への自信があるのでしょうか。
 それをさらに確実なものにしていく努力、その柱は、技術開発と内需拡大でしょう。