tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マンションの不正工事と従業員教育

2015年10月17日 15時01分06秒 | 経営
マンションの不正工事と従業員教育
 以前、北海道最大手の住宅建設会社にお伺いした時、社長さんからこんなことを言われました
 以前は建売住宅というのはあまり信用がありませんでした。「建てた、売った、逃げた」などと言われ、無責任の業者もあったからです。
 うちはそこに目をつけて、しっかり面倒を見させて頂くことで信用を得てきました。そのために一番必要だったのは、会社の理念を従業員に徹底することでした。

 こんなことを思い出したのも、今回のマンション建築の不正があったからです。
 不思議に思ったのは、基礎杭に手抜きをすれば、いつか問題は入居者の目に見える形で出て来るはずです。「逃げた」は不可能な大手です。責任追及は避けられません。

 なのに、なぜ現場は手抜きをしたのかです。現実がどうだったのか、知る由もありませんが、考えられることは、「この程度のことで異常が生きるようなことは多分ないだろう」という安易な認識が現場にあったのではないでしょうか。近い将来、住んでいる人の目に見える形で歪みが起きることが分かっていれば、そんな危ないことはしないでしょう。

 基本的には工事を担当した人たちの人間性、真面目さ、誠実さといったことでしょうが、もう一つ、なんとなく気になったのが、「手抜きを隠しおうせるのではないか」と考えたのではないかということです。

 これは、こうした工事における「専門知識」の問題でしょう。すぐバレて責任を取らされる羽目になるような嘘など、通常は言わないはずです。

 そんなことから、気になったのが、現場で働く人たち、特に管理・監督者の教育の不徹底があったのではないかということです。
 基礎杭が岩盤に届いていない場合、これだけの上部構造の加重で容易に建物に歪みが生じるという十分な知識があれば、まさか手抜きをしてもいいとは考えないでしょう。

 失われた20年の中での教育訓練費の削減、多重下請け構造による情報交流の不徹底など事情はいろいろあるでしょう。
 しかし、これからの日本の産業は、内外ともに、ものづくりからサービスまで、品質と誠意が顧客に通じることによってこそ成り立つことになるのでしょう。

 その基礎となるのは、教育訓練、すべては「人づくり」からです。安倍さんも、企業に投資を要請する差に、人間への投資も入れているようです。
 日本の唯一かつ最大の資源「人間」への投資の一層の徹底を企業に要請すること切です。