tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2016春闘、連合2パーセント要求へ

2015年10月23日 11時09分58秒 | 労働
2016春闘、連合2パーセント要求へ
 連合が来春闘に向けてベースアップ2パーセント基準という構想を発表しました。
 数字としては昨年と同様ですが、20円の円安効果が一巡、なんとなく踊り場ムードの日本経済の中での賃上げ要求基準です。

 連合傘下の組合員の大多数である正規従業員にとっては、定期昇給が1~2パーセントあり、ベアを加えて3~4パーセントということになり、物価上昇がひどくならなければまあまあといったところでしょうか。

 支払い側の企業にとっては、安全運転の必要な経済状態の中で、どこまで支払えるかということでしょう。 財界からは、経済環境も有之、慎重にという意見が聞かれます。

 しかし新卒求人過熱の中で、すでに初任給では引き上げが多くみられ、長らく20万円で低下も見られた大卒初任給が21万円が相場になったなどといいう報道もあります。これは5パーセントの上昇ですから、企業としては5~10年の先輩まで賃金調整をしなければ、賃金カーブが維持できません。

 連合の要求基準は、こうした中では良識的あるいはモデストといえるかもしれません。
 連合は同時に、正規・非正規の格差是正を強調していますが、格差是正の前に、40パーセント近くと増え過ぎ非正規の中の、正規希望者をできるだけ正規に転換という方針を掲げてほしかったと思うところです。

 これは、今消費不振が言われる中で、消費を支えるのは賃金もさることながら、雇用の安定が最も大きいという過去の経験によるものです。

 これから論議が本格化する中で、いかなる展開になるかを見守りたいと思いますが、政府の賃上げ奨励、財界の慎重姿勢、経済整合性も念頭に置いていると思われる連合の要求態度などが入り乱れての論戦になるでしょう。

 賃金決定行動に基本は、良識ある労使双方の交渉の決定に委ねるのが本来の在り方という、日本的経営、日本的労使関係の理念を生かした、賃金水準、雇用構造、生産性向上活動(安全活動を含む)それに消費行動まで加えた、広範で真摯な論議が期待されます。

 春闘を、1980年代のような、労使の建設的論争による、日本経済の安定発展実現構造の主要部分として、労使がともに重視し、相互の切磋琢磨の場とすることを願うところです。