goo blog サービス終了のお知らせ 

tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

年金積立金運用論議に思う

2013年11月22日 14時35分52秒 | 経済
年金積立金運用論議に思う
 安倍政権の諮問を受けて、公的年金の改革を議論する政府の有識者会議が、公的年金の運用のやり方を変えようという提言を出しました。
 提言の趣旨を 一言で言えば、今の国債中心の運用では積立金が有効に活用されているとは言えないので、もっとリスクを取って、株式や多様なファンドも活用して積極的な運用をしたらどうか、ということのようです。

 安倍さんから頼まれたのですから安倍さんの気に入るような報告をしたいという気持ちも解りますが、有識者ですから、本当に客観的に、日本の今後の年金システムに最大限の貢献をして、国民の負託に応えるような報告書でなければならないでしょう。

 確かに今の国債の利息は異常な低さです。私も被災地の復興に少しでも貢献しようと復興国債を買いましたが、これが資金運用だとは全く思っていません。だからと言って、此の所うなぎ登りに上がっている日本株や関連ファンドに今から投資するのはかなりのリスクを覚悟しなければならないでしょう。

 世の中「ローリスク・ローリターン」、「ハイリスク・ハイリターン」というのはありますが、「ローリスク・ハイリターン」というのはありません。有識者会議は、「ハイリスク・ハイリターン」の運用を「もう少し取り入れるべきだ」と言っているようです。

 経済現象とその予測との関係はインチキでないサイコロのように長い目で見れば「6つの目が6分の1ずつ出る」とはいかないかも知れませんが、「ハイリスク・ハイリターンでも、ローリスク・ローリターンでも長い目で見れば結局は同じような結果になる」という前提があるからこそ同じマーケットで併存しているのです。

 年金というのは30年、50年、100年といった長期で考えるものです。この相場で一発勝負に賭ける投機業者のビヘイビアが有利に生きて来るとは思えません。
 しかも、今この株高の時期に、「もっと上がるから株に」ということで国の巨大な資金を株式市場に投入すれば、結果は山を高くし、谷を深くすることにしかならないでしょう。長期の視点で見れば、すべての基盤は日本経済の成長率なのです。

 もしやるのなら、日経平均が6,000円台で、誰も株を買おうと思はないときに買い出動し、今、日経平均15,000円台で「利食い千人力」と市場状況を見ながら利益確定売りといった形で、日本経済にも株式市場にも役に立ち、投資資金も「倍がえり」といった長期の視点こそが大事でしょう。

 いつも書いていますように、キャピタルゲインは「あぶく銭」 で、GDPを増やすものではなく、基本的に単なる富の移転です。年金資金が儲けるということは、日本経済の他の経済主体がそれだけ実質所得を失うことです。

 「外国もみんなやっている」という意見もありましょう。それこそ舶来崇拝 の残滓です。日本は、日本人の良識に従って行動し、それを世界に示すべきでしょう。