tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

大きい春闘再開の意義

2013年11月19日 16時41分36秒 | 労働
大きい春闘再開の意義
 連合が2014年春闘に向けて定期昇給に加えて1パーセントのベースアップ要求を打ち出すことになったようですが、長い長い春闘不在の時期 が漸く終焉し、俳句の季語にもなった春闘が再び日本の経済、労働、社会問題の中にその存在意義を持つようになったことを喜びたいと思います。

 このブログでも常に指摘していますように、今のアメリカをはじめユーロ問題などの根底には、国民経済の中における、生産性、賃金、雇用といった問題についての理解が労使を含み広く国民の間に「正しく理解されていない」という実態があります。

 かつて日本社会の毎春の春闘における論争は、直接関係する労使のみならず、広く国民が、単純に言えば、一国経済と賃金決定の間にどういう関係があるかという、極めて重要な問題を、広く国民的論議の中で自然と理解していく、まさに国民全体にとっての実践的学習運動でした。

 特に、オイルショックの後 など、世界中の労働経済学者が、日本の春闘の学習効果について研究したり、驚嘆したりしていたのをご存知の方が、今どれだけおられるでしょうか。
 昨今の状況をtnlabo なりに見ると、労働組合 の中にはこの春闘の伝統がかなり残っているように思われますが、経営管理者の中には、労務畑出身の方が少なくなったこともあるのかもしれませんが、素人の方が多いような気がします。

 日本的経営が、人間を中心に置き、企業という組織の中で「人間と経済の接点は賃金である」ということを考えれば、健全な経営、ひいては健全な経済のベースは「健全な賃金決定」であることは自ずと明らかでしょう。

 春闘カムバックでも、春闘リターンズでも何でもいいのですが、また、日本人の真面目さで、毎年、日本経済の実態と、家計を支える賃金の関係についての国民的学習集会とでもいうべき「春闘」ができる日本経済になったことを本当に喜ぶのとともに、春闘の場で、質の高い本格的な論争を、国民のだれにも解り易く、労使双方が展開してくれることを心から願うものです。

 春闘は政治問題ではありません。春闘は労使の問題です。
 政府のやるべきことは、春闘に介入することではなく、日本経済を春闘が出来る状態に保つことです。あとは労使を信頼すればいいのです
 この春の春闘総括 でも書かせて頂きましたが、恐らく日本の労使は、着実に誤りない結果を出していくと思っています。tnlaboも共に学習させて頂きたいと思っています。