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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

漂流アメリカ経済:出口は遠く

2013年11月27日 08時09分49秒 | 経済
漂流アメリカ経済:出口は遠く
 アメリカの株高を受けて、日本でも円安→株高といった流れが進みつつあるようです。日本だけではありません。アメリカの金融引き締め、出口戦略の模索の動きを危惧し、緩和継続で安堵する国は新興国中心に数多いというのが現実でしょう。

 バーナンキ→イエレンのバトンタッチは「異次元の金融緩和の継続」という形でスムーズに行きそうな気配です。米、日、そして多くの新興国も、安んじて「当面の平安、繁栄」に浸るといった様相です。

 これで、アメリカのクリスマス商戦が活発になれば、これがまた当面の安心材料として多くの国が安心するのでしょう。
 しかしそれを喜んでいて、本当にいいのでしょうか。

 皆様すでに御承知のように、アメリカのGDPに占める個人消費支出の割合は大体68パーセント程度です。ですからアメリカの景気というと、すぐに個人消費の伸びがどのくらいかということになり、クリスマス商戦が大きな話題になったり、個人消費の増加の前提になる雇用の増加が注目されることになります。

 いわば「個人消費デマンド・プル」の経済ということになりますが、個人消費にひっぱられて伸びるのは生産よりも輸入という傾向が強いようです。
 消費に引っ張られて生産が伸びれば、経済はバランスのとれた成長ということになりますが、伸びるのが輸入ということになれば、それは国際経常赤字に直結します。

 新興国などは、対米輸出が増えて喜ぶかもしれませんが、アメリカ自身は、生じた赤字をファイナンスしなければなりません。国債発行をしたり、サブプライムローンを証券化して海外に売りさばいたりしましたが、万年赤字の国の発行する債券や証券は最終的にはあまり信用されず、ファイナンスは容易ではありません。

 結局、金融を緩和して債券や証券をFRB(中央銀行)が買い支え、デフォルトを回避するしかなくなります。
 バーナンキ流の異次元金融緩和は、赤字国アメリカが、結局、行きつくところまで行き着いた、ということの証明でしょう。

 アメリカも内心は「何時までもこれでは済まない」と解ってはいるのでしょう。だから金融緩和からの出口戦略 を考えようと試みるわけです。しかしそれをやったら、アメリカ経済失速は不可避で、新興国はアメリカからの投資引き上げで不況になると主張します。
 時の政権やFRB は、当面引き締めは無理と判断し、金融緩和の継続を選択・・・・。此の所のアメリカは、まさに此の繰り返しなのです。

 来年2月にはまた何か起こるでしょう。しかし結局は出口探索は止めて金融緩和継続になるのでしょう。
 アメリカの企業や消費者が従来の行動パターン を続け、政策当局が当面の糊塗策で凌ぎ続けた結果はどうなるのか、考えれば解ることです。
 世界がアメリカ依存を止めなければならない日がいつかは来ることを覚悟している人が今、どれだけいるのでしょうか。