tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済団体と経営者団体

2013年11月07日 13時38分04秒 | 社会
経済団体と経営者団体
 経済団体と言っても経営者団体といっても、いずれ同じようなものだと、殆どの方は思っておられるのではないでしょうか。経済団体と経営者団体は違うのですよと言ったら、「え、どこがどう違うの?」と聞かれそうですが、実はやっぱり違うのです。
 
 「名は体を表す」と言いますが、名前が違えば、やはり団体の性格、役割、中身も違うのです。少なくとも、私はそう認識しています。
 ではどう違うのでしょうか。

 経済団体というのは経済活動をする企業の団体というのが基本でしょう。ですから定款(寄付行為)などを見ても、企業にとって経済活動をやり易いような社会を実現するために活動をするというのが主要な目的ということになります。

 これに対して、経営者団体というのは「経営者」の団体ですから相手がいます。相手は従業員(労働者)、その組織、一般的に言えば労働組合が、産業界におけるカウンターパートということになります。

 具体的な例を挙げれば、ILO(国際労働機関)というのは、国連機関としては珍しいく各国の政府だけでなく各国の代表的な経営者団体と労働組合団体の三者によって構成される組織です。

 つまり、経営者団体というのは産業内における「人間」の問題(労働問題)に対応する組織です。ですから以前、経済団体としての「経済団体連合会(経団連)」と経営者団体としての「日本経営者団体連盟(日経連)」があったとき「日経連」の方は財界労務部などと言われていました。

 2002年、経団連と日経連は合併して「日本経済団体連合会(日本経団連)」が誕生しましたが、日本経団連の定款をネットで見ますと「経営者団体」という言葉はありません。

 そのせいでしょうか、近頃、安倍政権が「賃上げ、賃上げ」と騒いでいますが、それに対して、日本経団連から主体的な意見は聞かれません。

 このブログではいつも触れていますが、経済活動というのは、人間が資本を使って社会をより豊かで快適なものにするように付加価値を創りその分配をする活動なのですが、経済活動の中から人間(労使)に関わる部分(経済活動の唯一の主体)の部分が抜け落ちていては大変です。

 日本経団連が、経済における人間の問題を最も大事な問題として本格的に取り上げることを期待したいと思います。 政府も労働組合も国民も、みんなそれを望んでいるのではないでしょうか。