tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

豊かな社会とセーフティーネット

2008年12月19日 11時42分28秒 | 社会
豊かな社会とセーフティーネット 
 派遣労働者の削減問題がマスコミをにぎわせ、職を失うと寮からも出なければならないので、派遣減らしは、ホームレスの増加に直結すると解説するマスコミの報道を見て、戦後の日本人が営々として築いてきた豊かなはずの日本社会が、そんなに底の浅いものなのかと違和感に襲われたのは私だけでしょうか。

 戦後の貧しい時代には、納める税金も少ない代わりに、政府のやってくれることなどは、食糧の配給をはじめとても当てに出来ないので、自分の生活は十分で守るという本能的な防備を、日本人はそれぞれにしていたように思います。
 
 今日のように豊かな社会になると、人間は、豊かさに馴れて、かえって無防備になるのかもしれません。
 今では、生活のセーフティーネットは政府が用意すべきものになっていますが、その前に、国民一人ひとりが、出来るだけ自分でも用意するようにしないと、政府はどんどん大きくなって、実質的に「国民の面倒は国家がみる」という社会主義国になってしまうのではないでしょうか。

 直近の統計でも国民負担率(国民所得の中で、国民が政府に支払う税・社会保険料の合計の比率)は36パーセントほどですが、これに政府が国民から借金して使っている分を含めた潜在的国民負担率は47パーセントになっています。

 今回の不況で、政府はまたいろいろな出費を強いられますが、税収は落ち込みますから借金(赤字国債)でまかなわなければなりません。
 国民が政府に頼れば頼るほど国民負担率は増えます。50パーセントを超えて、国民所得の半分以上を政府が使うようになると、自由経済より社会主義経済に近くなります。
 
 折角豊かになった日本です。政府はもちろんですが、企業も、地域社会も、賢明な対応策を考え、そしてそれぞれの個人も、出来るだけ自分で自分のセーフティーネットを準備するようにして、自立自尊を考えることが、日本という経済・社会を、より強靭で安定したものにしていくために必要なのではないでしょうか。