tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

雇用削減までにやること

2008年12月18日 12時01分45秒 | 労働
雇用削減までにやること
 このところ、正規、非正規を問わず雇用削減のニュースが多く目につます。日本企業の場合、かつては、雇用削減までやらなければならないような企業は、よほど先行きが難しいのだろうということで、上場企業なら株価が下がるのが普通でした。

 その頃は、「アメリカでは、首切りをするとコストが減って業績が回復するだろうということで株価が上がるそうだ。」などと、多くの日本人は驚いたものでした。つい10何年前のことです。

 失われた10年を経て、日本企業の雇用に対する考え方は変わってしまったのでしょうか。
 確かに失われた10年の中で、日本企業は必死のコスト削減をやり、雇用削減も、非正規従業員比率の大幅増加もやってきました。
 しかしこれらはあくまで、プラザ合意による円高とバブル崩壊によるダブル不況という異常事態に対応するためのものだったのではないでしょうか。

 2002年以降のほぼ正常化してきた日本経済の中では、多分日本企業は、かつての「雇用削減は出来るだけ避けたい」という考え方に徐々に戻るだろうと思います。

 かつては、雇用を削減するまでにはそれなりの手順がありました。
経営者のボーナス・給与の削減 → 配当の削減 → 管理職の賞与・給与削減(上級者ほど大幅) → 一般職の残業削減 → 一般職の賞与・給与削減・昇給延伸・停止など → 希望退職募集・・・・、
この間、適宜、自宅待機(給与一部~全額保証)、ワークシェアリングなども行われる。
といったのが一般的なルールだったでしょうか。

 雇用の問題というのは、実は「総額人件費」の問題なのです。雇用量が同じでも、総額人件費が削減できれば、企業経営にとっては同じことです。

 蛇足をいえば、アメリカでは総額人件費の削減を「雇用の削減」でやり、日本では「一人当たり人件費の削減」でやったということでしょう。
 MIT(のちHarvard大)のマーチン.L.ワイツマン教授がこのあたりを「シェアー・エコノミー」という本で書いています。