ロシアのウクライナ侵攻2年で、国連の安全保障理事会の閣僚級会合では昨23日、激論があったことを外電が伝えています。
先ず事務総長のグテーレス氏が、ロシアの侵攻は国連憲章と国際法の両方を侵害ていると訴え、ウクライナの主権や領土の一体性を守る必要性を訴えました。
会議では、イギリスのキャメロン外相やフランスのセジュルネ外相や、日本の辻外務副大臣も出席し、事務総長の発言を支持し、辻外務副大臣は、力による領土の現状変更は決して許されないと強調したようです。
これに対しロシアの国連大使のネベンジャ氏は、いつも通りの東部でのロシア系住民を守るという主張で、ウクライナと欧米を非難するだけです。
国連の安全保障理事会の現状はこんな事の繰り返しになっているようで、決議をしようとすればロシアは必ず拒否権を行使、絶対に纏まることはないという状態です。
常任理事国5か国は拒否権を持っています。拒否権というのは、民主主義であっても、過半数が誤った考えを持つことは絶対ないとは言えない。そういった異常事態に一人でも拒否権を持った人がいれば、誤った判断は回避できるという考え方なのでしょう。アメリカでは大統領だけが持っています。
即ち、今の国連では安全保障理事会の常任理事国の中に意見の対立があり、その対立が解けない限り今後も何も決まらないという事なのです。
結果は世界の「安全を保障する」はずの国連機関の中に戦争や紛争をする国が一国でもいれば、世界の大多数の国が正しいと考える「安全が保障されない」のです。
この説明ではロシアが不満でしょうから、アメリカもイスラエルのハマス殲滅作戦の即時停止の決議では拒否権を行使しています。
もともと拒否権が存在するという事は「最高の賢者」がリーダーとして拒否権を持ち、大衆の誤りを正し世界の安全を守るという理念でしょうが、現実は理念通りにはいきません。
困ったことに最高の意思決定者が誤った判断を持つこともあり得ます、その場合にも、多数の意見は拒否権で葬られます。民主主義の基本理念が通らない事が起きるのです。
こうして、多数意見と拒否権の鬩ぎ合いということになるのですが、安全保障理事会に最高の賢者が5人もいて、意見が違うということが、機能しない国連の核心でしょう。
人類の経験からすれば、一国の最高の賢者の立場の人には往々誤りがあり、どちらかというと平凡な大衆の感覚、認識、思考、行動の総合の方が正しいのではないでしょうか。
こう考えれば。国連の組織で最高の意思決定機関は安全保障理事会ではなく『国連総会』でなければならないことになります。安全保障理事会は国連総会の意思決定に従って、世界の国々の国民の安全の保障をする執行機関という事になるのではないでしょうか。
恐らくいま世界の多くの国の人々は、そう考えているのでしょう。問題はそれを実現する方法手段なのではないでしょうか。
機能しない国連を改革するのは国連に参加する国々です。日本もその1つです。誰かが言い出さなければならないすれば、平和憲法を持つ日本の果たすべき役割は極めて大きいのではないでしょうか。