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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合に,民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額(最高裁判決)

2019-08-28 01:40:22 | 民法改正
最高裁令和元年8月27日第3小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88889

【判示事項】
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは,民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は,当該分割の対象とされた積極財産の価額である

「同条に基づき支払われるべき価額は,当該分割等の対象とされた遺産の価額を基礎として算定するのが,当事者間の衡平の観点から相当である。そして,遺産の分割は,遺産のうち積極財産のみを対象とするものであって,消極財産である相続債務は,認知された者を含む各共同相続人に当然に承継され,遺産の分割の対象とならないものである。」


「消極財産である相続債務は,認知された者を含む各共同相続人に当然に承継され,遺産の分割の対象とならない」は,当然である。

「協議に際して相続債務の負担に関する合意がされ,相続債務の一部がBによって弁済されている」という事情から,相続の開始後認知によって相続人となった者が負担すべき相続財務の支払の調整が図られ,最終的には価額の支払請求債権と調整されることになるのであろうが。


cf. 最高裁平成28年12月26日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85705

【判示事項】
1 民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時
2 民法910条に基づく価額の支払債務が履行遅滞となる時期

【裁判要旨】
1 相続の開始後認知によって相続人となった者が他の共同相続人に対して民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は,価額の支払を請求した時である。
2 民法910条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。


民法
 (相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第910条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
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求償関係 (ワッキー)
2019-08-28 07:48:11
遺産分割じゃなく、弁済をした上告人と死後認知を受けた被上告人との間の求償関係として処理せよっていうことでしょうかね。
双方金銭債権なので、遺産分割後に相殺できるんじゃないでしょうか。
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債務引き受けしているよね (みうら)
2019-08-28 18:33:27
だから無理じゃん。
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RE:債務引き受けしてるよね (ワッキー)
2019-08-30 18:27:21
そうなんですか!😁
詳しい解説お願いします🙇‍♂️
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遺産分割により債務引き受けしたから (みうら)
2019-08-31 18:48:55
自己の固有の債務となったわけで自己の固有の債務を弁済しても求償できないだろうね。

固定資産税とかも固有の債務です。
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ありがとうございます! (ワッキー)
2019-09-01 13:51:17
なるほど、そのようにお考えになったんですね!ありがとうございます。
私はこう考えました。
「協議に際して相続債務の負担に関する合意がされ,相続債務の一部がBによって弁済され」
「分割の協議を成立させた後,被上告人がAの子であることを認知する旨の判決が確定し」
という事実関係でしたので、認知を受けた被上告人は、相続債務負担に関する合意(債務者・引受人間の債務引受け、債権者の承諾の有無は不明)の当事者ではないから、弁済者は被上告人に対する求償が可能と考えました(根拠規定は民法702条の事務管理者の費用償還請求になるのかな)。
そこに考え方の違いがあったとわかりスッキリいたしました!

でもよく読んだら、、、訴訟当事者である上告人は弁済者じゃないんですね。これだと上告人は相殺できませんね。
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