司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業法人登記実務の取扱いについて(通達)」

2015-02-26 14:00:00 | 会社法(改正商法等)
 「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業法人登記実務の取扱いについて(通達)」(平成27年2月20日付け法務省民商第18号)が発出されている。

 ようやく出揃った。平成27年2月27日施行である。

cf. 平成27年2月20日付け「平成27年2月27日改正後の商業登記規則に対応する登記申請について」

 目に付いたポイントは,次のとおり。

1.就任承諾書と本人確認証明書
○ どのような書類が本人確認証明書に該当するかについては,通達においても,少数の例示があるのみ。とまれ,不動産登記規則第72条第2項各号に掲げられた書類は,これに該当するものと思われる。
※ パスポートその他「住所については,取得者が補充記載するもの」の取扱いについては,通達においては明らかではないが,「就任承諾書に記載した氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている~証明書」に該当しないとして,どうやら否定的な方向であるようである。

○ 取締役等の本人確認証明書としては・・・証明書の謄本であって,当該取締役等が原本と相違がない旨を記載し,署名又は記名押印したものも,これに該当する。
※ 署名でよい。

○ 外国に居住する日本人たる取締役等の本人確認証明書としては,その氏名及び住所が記載されている日本国領事が作成した証明書がこれに該当する。

○ 当該取締役等が外国に居住する外国人である場合の本人確認証明書としては,外国官憲の作成に係る当該取締役等の氏名及び住所が記載された証明書(宣誓供述証明書を含む。)のほか,外国官憲の発行に係る身分証明書等(住所の記載があるものに限る。)の謄本で,当該取締役等が原本と相違がない旨を記載し,署名又は記名押印したものがこれに該当する。

○ 合併又は組織変更による設立の登記の場合には,規則第61条第2項又は第3項の規定の適用が除外されているため,当該登記の申請書には,全ての設立時取締役,設立時監査役又は設立時執行役の本人確認証明書を添付しなければならない。

○ オンラインにより登記の申請をする場合に,取締役等の就任承諾書に代わるべき情報(電磁的記録に電子署名をしたもの)を送信するとともに,電子証明書を送信したときは,当該取締役等の本人確認証明書の添付を要しない(新規則第103条第3項)。


2.代表取締役等の辞任による変更の登記の手続
 登記の申請人が,印鑑証明書の添付が不可能又は著しく困難であるとして,例えば,代表取締役等の辞任届は受領したものの,印鑑証明書を受領する前に当該代表取締役が死亡した旨又は行方不明となった旨を記載した上申書とともに,当該代表取締役等の死亡診断書,戸籍事項記載証明書又は警察署が発行した失踪届受理証明書等を提出した場合には,市区町村長作成の印鑑証明書が申請書に添付されていないときであっても,当該申請は,受理される。
※ 辞任届を提出した代表取締役が,その所在は判じているものの,印鑑証明書の交付を拒んでいる場合は,どうする?


3.婚姻前の氏の記録の申出
○ 現に登記されている役員等の氏の記録に関する経過措置として,改正省令附則第3項の規定に基づき,6か月以内に限り,婚姻前の氏の記録の申出をすることができるが,その場合の登記すべき事項の記載例は,次のとおり。

「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務太郎(霞ヶ関太郎)
「原因年月日」平成27年法務省令第5号附則第3項の規定に基づく氏変更届出

※ 会社を除くその他の法人の役員等の場合には,「附則第4項」である。

○ 婚姻前の氏の記録の申出に係る役員等又は登記記録に婚姻前の氏をも記録された者が商業登記法第20条の規定によりその印鑑を登記所に提出すべき者であるときは,印鑑届書の印鑑届出事項欄に,氏名に続けて括弧書きでその婚姻前の氏及び名をも記載するように求められる。
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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-03-17 14:59:30
はじめまして。いつもブログを拝見し先生の見識の広さ深さに感服しております。

さて、先月改正の商登規則61Ⅵに関し、株主総会議事録に代取席上辞任の記載があり、議事録に届出印で押印している場合の取扱については、どのように考えればよいと思われますか?
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御回答 (内藤卓)
2015-03-17 16:31:14
 辞任する代表取締役が株主総会に出席していること,並びに席上辞任の意思及び辞任の時点が述べられたことが株主総会議事録から明らかであって,当該代表取締役が当該株主総会議事録に登記所届出印を押印しているのであれば,当該株主総会議事録は,「退任したことを証する書面」(商業登記法第54条第4項,商業登記規則第61条第6項)として取り扱うことができますね。
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Unknown (Unknown)
2015-03-17 19:22:51
早々に御回答いただきありがとうございます!
では市区町村の印鑑証明は不要ということですね。
丁寧に教えていただきありがとうございました。
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