最高裁令和7年7月10日第1小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=94263
【判示事項】
遺留分権利者から遺留分減殺に基づく土地の持分の現物返還請求を受けた受遺者に対して当該持分の価額の支払を命じた原審の判断に違法があるとされた事例
※ 平成30年改正前民法下の事案
「遺留分権利者から遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求を受けた受遺者が民法1041条1項の規定により遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をした場合において、遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をしたときは、遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権を遡って失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得するが(最高裁平成18年(受)第1572号同20年1月24日第一小法廷判決・民集62巻1号63頁)、遺留分権利者が上記意思表示をするまでは、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権のみを有するものと解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件各持分について、上告人が価額を弁償する旨の意思表示をしたのに対して、被上告人らが価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をしたことはうかがわれないから、被上告人らは、価額弁償請求権を確定的に取得したとは認められず、共有持分権及び共有持分権に基づく現物返還請求権のみを有するものである。
したがって、本件各持分の価額の支払を命じた原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。」
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=94263
【判示事項】
遺留分権利者から遺留分減殺に基づく土地の持分の現物返還請求を受けた受遺者に対して当該持分の価額の支払を命じた原審の判断に違法があるとされた事例
※ 平成30年改正前民法下の事案
「遺留分権利者から遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求を受けた受遺者が民法1041条1項の規定により遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をした場合において、遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をしたときは、遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権を遡って失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得するが(最高裁平成18年(受)第1572号同20年1月24日第一小法廷判決・民集62巻1号63頁)、遺留分権利者が上記意思表示をするまでは、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権のみを有するものと解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件各持分について、上告人が価額を弁償する旨の意思表示をしたのに対して、被上告人らが価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をしたことはうかがわれないから、被上告人らは、価額弁償請求権を確定的に取得したとは認められず、共有持分権及び共有持分権に基づく現物返還請求権のみを有するものである。
したがって、本件各持分の価額の支払を命じた原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。」