平成24年8月29日付け「設問解説 判決による登記」
上記記事に関して,問い合わせがあったので,再掲しておく。
(ここから)
ところで,休眠根抵当権の抹消登記手続請求訴訟を行う場合,①被担保債務につき消滅時効の援用,②元本確定請求を併せて行う必要がある。
登記原因年月日は,元本確定請求の通知が到達した日から2週間を経過した日(民法第398条の19第1項後段)であり,登記原因は,「根抵当権の元本の確定時における債務の不存在」である(もちろん元本確定が後の場合である。)。
不思議なことに,この点に言及する解説等が見当たらないのであるが,実体上,根抵当権の元本の確定時において被担保債権が不存在であれば,当該根抵当権は消滅することは明らかであるので,上記のとおりである。
(再掲おわり)
いわゆる書式精義の「根抵当権の抹消」に関する総論解説部分(手元にあるのは版が古いので,頁数は割愛)にも,
「根抵当権の元本の確定時において,被担保債権が皆無のときは,確定と同時に根抵当権は消滅する(附従性)」
とあるとおり,民法の基本であるのだが,公刊されている書籍等で,「根抵当権の元本の確定時における債務の不存在」が登記原因として取り上げられていないため,登記所が躊躇するケースが見受けられるようだ。
しかし,「先例等がないから,その原因では登記しません」というのでは,登記所の存在意義もないであろう。先例等がなければ,リーディング・ケースを作ればよいのである。
「前例がないから,できない」というケースも少なからずあるようであるが,実務上生じた問題点は,然るべく解決されなければならないのであり,「先例」は,正に「前例がない」ケースに解決の指針を与えるべく発出されたものも多いのである。「前例がない」ケースにおいても,先例に学び,法的安定性と具体的妥当性を兼ね備えた,新たな「先例」が編み出されるように,実務家は,先例をもっと活用して行かねばならないと考えるところである。
※ 拙稿「登記実務と先例活用の重要性」法の苑第55号(日本加除出版株式会社)
上記記事に関して,問い合わせがあったので,再掲しておく。
(ここから)
ところで,休眠根抵当権の抹消登記手続請求訴訟を行う場合,①被担保債務につき消滅時効の援用,②元本確定請求を併せて行う必要がある。
登記原因年月日は,元本確定請求の通知が到達した日から2週間を経過した日(民法第398条の19第1項後段)であり,登記原因は,「根抵当権の元本の確定時における債務の不存在」である(もちろん元本確定が後の場合である。)。
不思議なことに,この点に言及する解説等が見当たらないのであるが,実体上,根抵当権の元本の確定時において被担保債権が不存在であれば,当該根抵当権は消滅することは明らかであるので,上記のとおりである。
(再掲おわり)
いわゆる書式精義の「根抵当権の抹消」に関する総論解説部分(手元にあるのは版が古いので,頁数は割愛)にも,
「根抵当権の元本の確定時において,被担保債権が皆無のときは,確定と同時に根抵当権は消滅する(附従性)」
とあるとおり,民法の基本であるのだが,公刊されている書籍等で,「根抵当権の元本の確定時における債務の不存在」が登記原因として取り上げられていないため,登記所が躊躇するケースが見受けられるようだ。
しかし,「先例等がないから,その原因では登記しません」というのでは,登記所の存在意義もないであろう。先例等がなければ,リーディング・ケースを作ればよいのである。
「前例がないから,できない」というケースも少なからずあるようであるが,実務上生じた問題点は,然るべく解決されなければならないのであり,「先例」は,正に「前例がない」ケースに解決の指針を与えるべく発出されたものも多いのである。「前例がない」ケースにおいても,先例に学び,法的安定性と具体的妥当性を兼ね備えた,新たな「先例」が編み出されるように,実務家は,先例をもっと活用して行かねばならないと考えるところである。
※ 拙稿「登記実務と先例活用の重要性」法の苑第55号(日本加除出版株式会社)