小松亀一法律事務所HP
https://www.trkm.co.jp/houritu/16071001.htm
不動産の権利に関する登記の申請は,共同申請が大原則(不動産登記法第60条)であるが,判決による登記は,その一方が単独で申請することができる(不動産登記法第63条第1項)。
不動産登記法
(共同申請)
第60条 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
(判決による登記等)
第63条 第60条、第65条又は第89条第1項(同条第2項(第95条第2項において準用する場合を含む。)及び第95条第2項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
2 【略】
通常は,判決の主文に,「被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の不動産につき,令和〇年〇月〇日〇〇を原因とする被告から原告への所有権移転登記手続をせよ。」とあり,一方(被告=登記義務者)に対して登記手続をすべきことを命ずる内容であるので,他方(原告=登記権利者)が単独で登記の申請をすることができるわけである。判決書正本を添付することで,登記義務者の申請意思が擬制されるからという理解である。
ところで,登記権利者がなぜか登記手続をしたがらないケースも少なくなく,登記義務者側がしびれを切らして,なんとか登記することができないかという相談もあるところである。そういう場合は,上記HPで紹介されている東京地裁平成21年7月16日判決のように,登記義務者が登記権利者に対して登記引取請求訴訟を提起して,勝訴判決を得た上で,登記義務者が単独で申請することになる。
cf. 最高裁昭和36年11月24日第二小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53624
※ 岡口基一「要件事実マニュアル 第1巻(第5版」(ぎょうせい)541頁では,「物件変動的登記請求権としての登記引取請求権と考えるべき」と述べられている。
この場合の判決の主文は,「被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の不動産につき,令和〇年〇月〇日〇〇を原因とする原告から被告への所有権移転登記手続をせよ。」とあり,一方(被告=登記権利者)に対して登記手続をすべきことを命ずる内容であるので,他方(原告=登記義務者)が単独で申請することができるわけである。
ところで,裁判上の和解や調停等において,「Aは,Bに対し,別紙物件目録記載の不動産につき,令和〇年〇月〇日〇〇を原因とするAからBへの所有権移転登記手続をする。」という合意がされるケースがある。
「Aは・・・登記手続をする」と書いてあるので,司法書士以外の方は,「Aが申請しなければならないんだ」「Aが単独で申請することができるんだ」と誤解される向きもある。
しかし,和解や調停の場合,判決による登記と同様に,「一方(A)が登記手続をすべき」ことをABが合意し,これに法的強制力を持たせたものであるので,他方(B)が単独で登記の申請をすることができるわけであって,Aが単独で申請することができることにはならない。Bの申請意思の擬制は働かないからである。
https://www.trkm.co.jp/houritu/16071001.htm
不動産の権利に関する登記の申請は,共同申請が大原則(不動産登記法第60条)であるが,判決による登記は,その一方が単独で申請することができる(不動産登記法第63条第1項)。
不動産登記法
(共同申請)
第60条 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
(判決による登記等)
第63条 第60条、第65条又は第89条第1項(同条第2項(第95条第2項において準用する場合を含む。)及び第95条第2項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
2 【略】
通常は,判決の主文に,「被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の不動産につき,令和〇年〇月〇日〇〇を原因とする被告から原告への所有権移転登記手続をせよ。」とあり,一方(被告=登記義務者)に対して登記手続をすべきことを命ずる内容であるので,他方(原告=登記権利者)が単独で登記の申請をすることができるわけである。判決書正本を添付することで,登記義務者の申請意思が擬制されるからという理解である。
ところで,登記権利者がなぜか登記手続をしたがらないケースも少なくなく,登記義務者側がしびれを切らして,なんとか登記することができないかという相談もあるところである。そういう場合は,上記HPで紹介されている東京地裁平成21年7月16日判決のように,登記義務者が登記権利者に対して登記引取請求訴訟を提起して,勝訴判決を得た上で,登記義務者が単独で申請することになる。
cf. 最高裁昭和36年11月24日第二小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53624
※ 岡口基一「要件事実マニュアル 第1巻(第5版」(ぎょうせい)541頁では,「物件変動的登記請求権としての登記引取請求権と考えるべき」と述べられている。
この場合の判決の主文は,「被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の不動産につき,令和〇年〇月〇日〇〇を原因とする原告から被告への所有権移転登記手続をせよ。」とあり,一方(被告=登記権利者)に対して登記手続をすべきことを命ずる内容であるので,他方(原告=登記義務者)が単独で申請することができるわけである。
ところで,裁判上の和解や調停等において,「Aは,Bに対し,別紙物件目録記載の不動産につき,令和〇年〇月〇日〇〇を原因とするAからBへの所有権移転登記手続をする。」という合意がされるケースがある。
「Aは・・・登記手続をする」と書いてあるので,司法書士以外の方は,「Aが申請しなければならないんだ」「Aが単独で申請することができるんだ」と誤解される向きもある。
しかし,和解や調停の場合,判決による登記と同様に,「一方(A)が登記手続をすべき」ことをABが合意し,これに法的強制力を持たせたものであるので,他方(B)が単独で登記の申請をすることができるわけであって,Aが単独で申請することができることにはならない。Bの申請意思の擬制は働かないからである。