司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

規制改革の動き「倒産手続のデジタル化」

2024-06-04 18:39:53 | 民事訴訟等
第19回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/agenda.html

 規制改革会議が最終答申をまとめている。

※ 40頁
ウ 倒産手続のデジタル化
【a~d:令和6年度に検討に着手し、
改正法の施行時期に先立つ可能な限り速やかな時期に結論、結論を得て措置】

<基本的考え方>
 破産手続、民事再生手続又は会社更生手続(以下「倒産手続」という。)においては、現時点では書面による手続が中心となっており、場合によっては、数十万人に上る多数の債権者が債権額・債権発生原因等の債権届出を行うなど書面中心の手続に起因して、倒産手続の長期化、コストの増大(※)が生じていることから、デジタル化による破産管財人等の業務効率化によって、手続の迅速化や配当額の増大等の効果が期待される。
※ 破産管財人が債権者に対し、債権届出書を含む書面を送付する費用だけで、債権者が10万名で7回送付した場合、約1億円のコストがかかるとの指摘がある。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
a 法務省は、倒産手続に携わる実務家から諸外国と比較して倒産手続のデジタル化に係る司法府の取組が遅れており、デジタル化の運用開始までに時間を要することへの懸念が示されていることも受け止め、司法府における自律的判断を尊重しつつ、債権届出を行う債権者に関する本人確認について、現在、書面による債権届出書提出の場合には、届出時点で運転免許証等の提示等による厳格な本人確認は行われておらず、特段の問題が生じていないことを踏まえ、手続のデジタル化に伴う債権者等の手続負担の軽減を図る観点から、「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」(平成31年2月25日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)等の内容も参照し、令和10年6月までに予定される倒産手続の電子システム導入に当たり、インターネットを利用した債権届出の電子提出時の本人確認は、書面による債権届出の際の本人確認の程度と比較して、債権者に不要な負担を課さないものとするなどして、債権者がシステムの利用を選択しやすくする方向で、デジタル庁とも連携の上、最高裁判所によるシステム構築のための環境整備に取り組む。

b  法務省は、司法府における自律的判断を尊重しつつ、令和10年6月までに最高裁判所が整備する予定の倒産手続の電子システムにおいて、民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第53号。以下「改正法」という。)の趣旨を踏まえて、債権届出に係る情報がテキストデータの形で入力可能となること、その上で、債権者が裁判所に対して書面で債権届出を行った場合には、破産法(平成16年法律第75号)、民事再生法(平成11年法律第225号)又は会社更生法(平成14年法律第154号)上、裁判所書記官が債権届出によって得られる情報を基礎として債権者や債権額等の一覧表(債権者表)を作成することが定められていることを踏まえつつも、破産管財人等がテキストデータ化する方が個別の事案を効率的に処理できると認められる場合もあることに鑑み、改正法の下で、いたずらにテキストデータ化の負担を破産管財人等にかけることなく、適切な運用が図られるための環境整備に取り組む。

c 法務省は、倒産手続に携わる実務家から諸外国と比較して倒産手続のデジタル化に係る司法府の取組が遅れており、デジタル化の運用開始までに時間を要することへの懸念が示されていることも受け止め、司法府における自律的判断を尊重しつつ、債権届出における債権額等の情報をテキストデータで管理・変換することのみによっては、債権調査や配当金額の計算など後続の手続を破産管財人等が情報システム等によって効率的に行うことが困難であり、デジタル完結を実現することが必要であるとの指摘があることを踏まえ、倒産手続の迅速化、効率化を推進する観点から、令和10年6月までに予定される倒産手続の電子システムの導入に当たって、破産管財人等が、債権届出における債権額等のデータを債権調査、配当金額の計算その他の後続の手続にも自動的に利用することを可能とする方向で、デジタル庁とも連携の上、最高裁判所による情報システムの構築のための環境整備に取り組む。

d 法務省は、倒産手続に携わる実務家から諸外国と比較して倒産手続のデジタル化に係る司法府の取組が遅れており、デジタル化の運用開始までに時間を要することへの懸念が示されていることも受け止め、司法府における自律的判断を尊重しつつ、破産管財人等が債権者に郵送することが一般的な書面について、倒産手続の電子システム導入に合わせて、当該書面に係る情報の提供方法もデジタル化し、郵送費用を削減することにより、債権者に対する配当額を増やすべきとの指摘を踏まえ、令和10年6月までに予定される倒産手続の電子システム導入に当たり、破産管財人等が裁判所に提出する財産状況報告書又は認否書その他倒産手続において破産管財人等から債権者に送付されることが一般的な書面の全てについて、破産管財人等がこれらの書面をシステムを通じて裁判所に提出した際に、同時に当該書面提出があった旨の電子的通知が債権者にも発出され、債権者が電子的に当該書面を閲覧できるようにする方向で、デジタル庁とも連携の上、最高裁判所によるシステム又は機能の構築のための環境整備に取り組む。
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