司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

設立以来,全く登記をしていないNPO法人

2013-04-11 00:12:41 | 法人制度
「NPO法人の理事の変更の登記の依頼を受けたが,設立以来,全く登記をしていない法人だった」という話をしばしば耳にする昨今である。

 NPO法人の理事の任期は,原則として最長2年である(特定非営利活動促進法第24条第1項本文)が,定款で役員を社員総会で選任することとしているNPO法人にあっては,定款の定めにより,理事の任期が伸長される場合がある(同条第2項)。

 この場合は,MAXが約4年である。

cf. 平成24年4月13日付け「NPO法人の理事の任期の伸長~4年を超えることはない」

 それでは,定款に当該任期伸長規定がなければ,どうなるのか? であるが・・・。

 設立時の役員については,定款の附則で,「この法人の設立当初の役員の任期は,この定款の規定にかかわらず,成立の日から平成○年○月○日までとする」と定めているケースが多いが,定款に「役員は,辞任又は任期満了後においても,後任者が就任するまでは,その職務を行わなければならない」旨の規定があれば,当該規定を任期伸長規定と解することができ,この規定による任期伸長は,法人成立の日から2年がMAXである。

 法律及び定款の規定を丁寧に読めば,こういう次第である。

 任期伸長規定を最大限に働かせても,任期満了となっているのであれば,理事が欠けた状態であり,仮理事の選任の申立てを行って,解散等の然るべき手続に着手すべきである。

 後任の理事の選任手続については,特定非営利活動促進法第17条の3の規定により選任された仮理事が行うことになるが,退任した当該理事も,民法第654条の規定により,善処義務を負っていることから,後任の理事を選任するための社員総会の招集手続をすることができると考えられる。

cf. 平成19年1月11日付法務省民商第30号法務省民事局長回答
※ ただし,社会福祉法人に関するものである。
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