司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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医療法人の社員は裁判所の許可を得て社員総会を招集することはできない

2024-04-02 16:54:41 | 法人制度
最高裁令和6年3月27日第3小法廷決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92881

【判示事項】
医療法人の社員が一般法人法37条2項の類推適用により裁判所の許可を得て社員総会を招集することはできない

「一般法人法は、一般社団法人の適切な運営のために、37条1項において、一定の割合以上の議決権を有する社員が理事に対して社員総会の招集を請求することができる旨規定し、同条2項において、その請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合などには、当該社員は、裁判所の許可を得て、社員総会を招集することができる旨規定する。これに対し、医療法46条の3の2第4項は、医療法人の理事長は、一定の割合以上の社員から臨時社員総会の招集を請求された場合にはこれを招集しなければならない旨規定するが、同法は、理事長が当該請求に応じない場合について、一般法人法37条2項を準用しておらず、また、何ら規定を設けていない。このような医療法の規律は、社員総会を含む医療法人の機関に関する規定が平成18年法律第84号による改正をはじめとする数次の改正により整備され、その中では一般法人法の多くの規定が準用されることとなったにもかかわらず、変更されることがなかったものである。他方、医療法は、医療法人について、都道府県知事による監督(第6章第9節)を予定するなど、一般法人法にはない規律を設けて医療法人の責務を踏まえた適切な運営を図ることとしている。
 以上によれば、医療法人について、一般法人法37条2項は類推適用されないと解するのが相当である。」


医療法
第四十六条の三の二 社団たる医療法人は、社員名簿を備え置き、社員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。
2 社団たる医療法人の理事長は、少なくとも毎年一回、定時社員総会を開かなければならない。
3 理事長は、必要があると認めるときは、いつでも臨時社員総会を招集することができる。
4 理事長は、総社員の五分の一以上の社員から社員総会の目的である事項を示して臨時社員総会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれを下回る割合を定めることができる。
5 社員総会の招集の通知は、その社員総会の日より少なくとも五日前に、その社員総会の目的である事項を示し、定款で定めた方法に従つてしなければならない。
6 社員総会においては、前項の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
 (社員による招集の請求)
第三十七条 総社員の議決権の十分の一(五分の一以下の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する社員は、理事に対し、社員総会の目的である事項及び招集の理由を示して、社員総会の招集を請求することができる。
2 次に掲げる場合には、前項の規定による請求をした社員は、裁判所の許可を得て、社員総会を招集することができる。
 一 前項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
 二 前項の規定による請求があった日から六週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を社員総会の日とする社員総会の招集の通知が発せられない場合
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