吸収合併における手続においては,
(1)吸収合併契約の内容の合意
(2)吸収合併契約の締結に関する取締役会等の承認
(3)吸収合併契約の締結
(4)事前開示手続の開始
を経て,株主総会の承認や債権者保護手続等の手続に進むこととなるのが,通常であろうと思われる。
それでは,(1)(2)を経た後,「株主総会の承認」→「吸収合併契約の締結」という順に進めることは,可能であるのか。
会社法第782条及び第794条の規定が存することから,問題となり得る。
この点に関して,(2)の機関決定があれば,(3)の契約締結がなくても,(4)の事前開示手続を開始することは可能であると解されているようである。
cf. 森・濱田松本法律事務所編「組織再編」(中央経済社)226頁
「論点体系 会社法第5巻」(第一法規)423頁
何となく,座りが悪い感があるかもしれないが,会社法の解釈としては,事前開示が要求されているのは,「合併契約書」ではなく,あくまで「合併契約の内容」であるから,OKと解してよいであろう。
すなわち,会社法が本来想定しているのは,締結された合併契約について株主総会が承認することであるが,取締役会設置会社でない株式会社である場合等において,合併契約の締結に関する承認を株主総会が行うようなケースもあり得るわけであり,「合併契約の内容」が適正に事前開示されていれば,法的な瑕疵は,存しないはずである。
(1)吸収合併契約の内容の合意
(2)吸収合併契約の締結に関する取締役会等の承認
(3)吸収合併契約の締結
(4)事前開示手続の開始
を経て,株主総会の承認や債権者保護手続等の手続に進むこととなるのが,通常であろうと思われる。
それでは,(1)(2)を経た後,「株主総会の承認」→「吸収合併契約の締結」という順に進めることは,可能であるのか。
会社法第782条及び第794条の規定が存することから,問題となり得る。
この点に関して,(2)の機関決定があれば,(3)の契約締結がなくても,(4)の事前開示手続を開始することは可能であると解されているようである。
cf. 森・濱田松本法律事務所編「組織再編」(中央経済社)226頁
「論点体系 会社法第5巻」(第一法規)423頁
何となく,座りが悪い感があるかもしれないが,会社法の解釈としては,事前開示が要求されているのは,「合併契約書」ではなく,あくまで「合併契約の内容」であるから,OKと解してよいであろう。
すなわち,会社法が本来想定しているのは,締結された合併契約について株主総会が承認することであるが,取締役会設置会社でない株式会社である場合等において,合併契約の締結に関する承認を株主総会が行うようなケースもあり得るわけであり,「合併契約の内容」が適正に事前開示されていれば,法的な瑕疵は,存しないはずである。
以下、合併等の決議について質問をさせていただきます。
取締役会設置会社が吸収合併等を、略式・簡易合併(完全親子会社間を想定)で行う場合、「吸収合併契約の締結」(会社法748条)を取締役会の決議で承認(同法362条)することで、「吸収合併契約等の承認」(同法783、784条及び795、796条)としての承認を兼ねることはできるのでしょうか?
会社担当者様より、上記の議案を双方とも取締役会にて決議するのであれば、一度の開催でいいのではないか?また仮に必要(法的性質の違いにより)であっても議案内容について違いはほとんどないのではないか?との質問がありました。
お手数をおかけいたしますが、ご教授のほどどうかよろしくお願いいたします。
恐れ入りますが、再度のご質問をさせていただきます。
上記質問の前提である略式合併の点ですが、当該取締役会決議の時点では、特別支配会社ではなく、後日、親会社が株式を取得する場合(100%子会社になる)に、株式を取得することを条件として「吸収合併契約等の承認」の取締役会決議をすることはできるのでしょうか(合併契約書についても条件付きの内容とし、無対価合併とする。)?
それとも、特別支配会社の要件を満たしたうえで(株式を取得後の日)、取締役会の決議をする必要があるのでしょうか?
御回答していただき、誠にありがとうございます。
おかげさまで、問題を解決することができました。
今後ともどうかよろしくお願いいたします。
季節柄、ご自愛ください。